「通常なら出てこない優秀な人材が、東芝からどんどん出てきている」。あるヘッドハンティング会社の幹部はそう話す。不正会計に揺れる東芝の中でも、安定的な社会インフラ部門はリストラの対象外。にもかかわらず、優秀な人材は見切りをつけ、転職市場に足を踏み入れている。「事業を10年単位で動かす経験をしたから視野が広く、B to Bを強化したい電機メーカーがすぐに採用を決める」という。
一方でまったく別の見方もある。中堅幹部を対象にしている転職支援会社の社長は、「東芝の管理職は使えない」と手厳しい。特に50代の担当部長クラスになると、「プライドが高く転職先でのポジションが保証されていないと嫌がる」。そうした人たちには、地元に帰り人脈を駆使して口コミで再就職先を探すよう勧めているという。有名大学を卒業し大企業で働いた経験は、自治体などが設ける地元産業振興のための技術支援センターなどへの就職で有利に働くことがある。面談やセミナーでこの話が出ると、転職希望者の目が輝き始めるという。一般的には給料の低い中小企業の求人に納得し転職が決まるまでには、半年から1年程度かかることが多いそうだ。
リクルートキャリア中途事業本部の杉山友章シニアコンサルタントは、「昨年から企業の中途採用は活発になっている。転職先が決まりやすい雇用環境にはある」と指摘する。杉山氏によると、条件のよい転職先が決まるか否かは、景気動向と英語力だ。50代前半でも英語ができれば技術サービスや技術営業を求める外資系とうまくマッチングできるという。
電機業界の再編に揺れる、20〜40代の電機系の優秀な人材にはチャンスが広がっている。横浜市に建設中の米アップルの研究開発拠点には、半導体を製造するためのクリーンルームが設置されており、「ルネサスエレクトロニクスの出身者が相当数、採用されるようだ」(関係者)。40代も採用対象で、即戦力が求められている。自動車メーカーもAI(人工知能)分野で中途採用を増やしている。
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