【産業天気図・鉄鋼】原料価格高止まり、国内需要低調。1年通して「曇り」に

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 高炉の主原料である鉄鉱石、原料炭ともに今期は大幅な値上がりをみせ、夏場に調整局面があったものの、再び上昇し高止まりの様相。鉄鉱石は4~6月期に倍増、7~9月も2割強値上がりしたが、鉄鉱石のスポット価格は足元トン当たり160ドルを再び突破。10~12月に下がった鉄鉱石価格は、1~3月は再び上昇する。

こうした原料価格の先高感はあるものの製品価格への転嫁は遅い。特に、ひも付きと呼ばれる大口需要家向けの契約はその新価格の適用が遅れた。店売りでは足元大きな調整局面。円高で輸入材が流入、電炉材でも安値が目立っている。国際市況も乱調で、価格の軟化が顕著だ。

マージンはひも付き中心に改善するとしても、主要顧客である自動車、電機、機械など外需依存度の高い企業は、足元の円高で海外シフトが強まっている。鉄鋼各社もアジア諸国で工場新設を決めるなど軸足を少しずつ移している。11年度はこうした動きがさらなる成果を生みそうだが、当面は縮小する国内需要の代替で推移し、本格的な「晴れ」はもう少し先だろう。
(山内 哲夫=東洋経済オンライン)

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