【産業天気図・スーパー/コンビニ】猛暑特需など消え後半「曇り」へ悪化、同業買収軸に優勝劣敗鮮明に

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■総合スーパーもリストラ効果で浮上
 スーパー業界はコンビニに比べると動きが地味だが、ようやく復調の兆しが出てきた。ユニクロなどアパレル専業大手に食われ続けてきた衣料品が底入れの気配を見せ始めたことで、既存店売上高が水面下ながら前年同期比横ばいに近づいてきた。物流コストの見直し、勤務体系の変更などによる人件費の効率化も効き、営業利益では増益基調が定着している。

GMS(総合スーパー)最大手のイオンは、GMS部門の復調が貢献し収益予想を上方修正。10月末に発表した新3カ年計画では、国内は大型出店を抑制(主に都心部で小型スーパーを大量投入)するが、代わりに中国や東南アジアで中期的にGMS出店を加速し、日本・中国・東南アジアの3地域本社制に移行すると発表した。

対するイトーヨーカドーのセブン&アイHDは、ヨーカドーの戻りが鈍いがコンビニの堅調で埋めて期初予想を維持。9月のシンジケートローン借り替えの“関所”を無事突破したダイエーは、メインの三井住友銀行から数十億円規模のコミットメントライン(融資枠)設定を受け、既存店の改装投資に着手している。

ただスーパーに比べ、フランチャイズ・ビジネスであるコンビニはより粗利益率が高い。ヨーカドーは小型食品スーパーの実験出店など試行錯誤を続けているが、セブン&アイHDの戦略としては、コンビニ事業に資源を集中した方が成長力が発揮できる可能性もある。極端な話、「ウォルマート等へGMS部門を売却した方が、セブン&アイの株式市場での評価は高まるのではないか」(業界関係者)との見方すらある。

■頼みの綱は中国人?
 業界大手は人口減少が不可避の国内市場に見切りをつけ、中国や新興国で出店を加速する。さらには、国内市場でも“外需”で消費が持ちこたえる可能性がある。銀座など繁華街や、百貨店で主役の座を奪いつつある中国人らアジア人客だ。日本ブランドを高く評価する彼らの旺盛な購買意欲はあなどれない。主要顧客が30~40代男性に偏っていたコンビニも、女性層やシニア層の開拓へ向け、商品・サービスを充実させる動きが活発化している。国や顧客層が変わっても、勝利のカギはつねに「消費者の支持」であるといえそうだ。
(山川 清弘=東洋経済オンライン)

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