ソシャゲ協会消滅、ゲーム業界の栄枯衰勢 設立2年半でひっそりと役割を終える
一方、これと入れ替わるように台頭してきたのが、スマホでアプリをダウンロードして遊ぶスマホゲームだ。ガンホー・オンラインエンターテインメントが12年にリリースした「パズル&ドラゴンズ(パズドラ)」は大ブレークし、これまでに累計3200万ダウンロードを記録。スマホのタッチパネル操作を生かしたゲーム性が人気を集めたと同時に、課金しなくても十分に楽しめる点もヒットにつながった。ソーシャルゲームの課金率が10%程度とされる一方で、スマホゲームは3~5%と言われている。
「3年後には、ソーシャルゲーム市場はほぼなくなっているかもしれない」と、グリーやモバゲーなどのプラットフォームにソーシャルゲームを提供してきたゲーム開発会社の幹部は嘆息する。ピークアウトを迎えたソーシャルゲーム業界が復活を託すのが、ゲームアプリへのシフトである。たとえば、グリーは専用の組織規模を300人から1000人へと増強。「パズドラ」のようなヒットゲームの創出を狙う。
開発費高騰で中小規模開発会社は窮地に
ただ、ゲームアプリでヒットを狙うのは容易ではない。従来のソーシャルゲームは数千万円かけて1カ月足らずで新作ゲームを開発できたのに対し、ゲームアプリの場合、1本の開発費は1億円程度必要であり、開発期間も1年近くと長期化している。一発ヒットに復活を託すハードルは上がる一方だ。
さらにゲームアプリの場合、アプリを配信する「アップストア」や「グーグルプレイ」に売上高の3割を支払う必要がある。ソーシャルゲームでも、グリーやモバゲーなどプラットフォーマーに売上高の3割前後の手数料(ゲームによって異なる)に加えて通信キャリアに1割を支払うが、代わりに集客をサポートしてもらえた。このため「モンスターストライク」が大ヒット中のミクシィや、スマホゲームのヒットを多数有するコロプラでは、売上高に占める広告宣伝費は10%を上回る。
自前で大規模な広告宣伝を打つ軍資金とマーケティングのノウハウ抜きには、ヒットゲームの創出は語れない。ある証券アナリストは「グリーやDeNAの場合、潤沢なキャッシュを使えるのでヒットゲームが出るまで開発を続ける体力がある。中小規模のゲーム開発会社ほど厳しい」と指摘する。
CESAの鵜之澤会長は、「2人(グリーの田中社長とDeNAの守安社長)が登場し、ゲーム業界に殴り込みじゃなく、新しい風を吹き込んでくれた。基本無料でマネタイズなどのIT業界でのノウハウを使い、ゲームから離れていたライトユーザーを取り込んだ」と評価する。が、今ではそのライトユーザーの多くがスマホゲームへ流れている。発足から2年半で消滅することになったJASGAの存在は、スマホゲームを取り巻く速すぎる環境の変化を物語っているようだ。
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