そこで日立は、BtoCを縮小して、BtoBの割合を高めました。同社は、かつてはテレビや白物家電、パソコンなどの事業にも注力していましたが、業績が悪化し始めてから、いち早く「選択と集中」の構造改革を行ったのです。
2007年には価格競争が激しくなったパソコン事業から撤退し、2009年3月期に7873億円の最終赤字を計上した時には、一気に構造改革を進めました。不採算事業から次々と撤退し、BtoCからBtoBへとシフトしていったのです。この戦略が功を奏しているというのが、現在の状況です。
インフラ系や半導体などBtoBで勝ち残った東芝
続いて、東芝の2014年9月中間決算を見てみましょう。東芝も、日立と同様に、BtoB事業で稼いでいる様子がわかります。
損益計算書(10ページ)を見ると、売上高は前の期より3.5%増の3兆1083億円。売上原価、販管費ともに微増しましたが、営業利益は7.7%増の1151億円となりました。こちらも好調だと言えます。また、自己資本比率は26.8%ありますので、安全性にも問題ありません。
次に、事業別の業績をまとめたセグメント情報(14ページ)を見ますと、やはりBtoB事業が伸びています。
特に収益を上げているのが、発電システムなどの「電力・社会インフラ」で、売上高は前の期より16.9%増の9158億円。営業利益もほぼ倍増の300億円を計上しています。
それから、昇降機や流通・事務用機器、空調事業などを含む「コミュニティ・ソリューション」も好調で、大幅な増収増益となりました。売上高は7.7%増の6456億円、営業利益は70.8%増の158億円となっています。新興国でのビルの空調や昇降機が伸びたのです。
最も利益を稼ぎ出しているのは、半導体やハードディスクなどが含まれる「電子デバイス」で、1066億円の営業利益を計上しています。中国をはじめとする新興国向けの安価なメモリが好調で、収益を伸ばしているのです。また、9月に発売された米アップル社の「iPhone6」の製造に伴って需要が増えたという要因も重なったと思われます。
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