2014年10月31日の金融政策決定会合で、日本銀行は大規模な追加金融緩和を決定しました。2013年の4月4日に異次元緩和が発表され、それ以降本当に「異次元」の緩和が行われていますが、質・量ともに、さらに拡大していくというのです。
日銀の思惑通り、この発表から日経平均株価は急上昇しました。しかし、私は、持続して景気が回復していくとは思えません。一時的に株価を押し上げ、資産効果によって多少の景気浮揚は期待できるかもしれませんが、この政策は所詮“カンフル剤”でしかないのです。その効果以上に、日銀が抱え込んだリスクの方が問題だと思います。今回は、日銀のバランスシートを分析しながら、異次元緩和のリスクについて考えます。
日銀は異次元緩和で何を行ったのか
2013年4月4日、日銀は異次元の金融緩和を行うと発表しました。何が「異次元」なのかと言いますと、マネタリーベースを2014年度末までに2倍に増やすという点です。
マネタリーベースとは、日銀券と日銀当座預金(金融機関が日銀に預けている預金)の残高を合計したものです。日銀が直接コントロールできる資金量は、このマネタリーベースだけです。
では、日銀はどのようにしてマネタリーベースを増やすのでしょうか。日銀は、その国の通貨を創りだすことができます。ひとつは紙幣の発行、もう一つの手法は日銀が民間金融機関から国債を買い取り、その代金を「創りだし」て、民間金融機関が持つ日銀当座預金に振り込むのです。こうしてマネタリーベースが増えていきます。異次元緩和では、主に、国債の買取りによりその代わり金を日銀当座預金に入金することにより、マネタリーベースを増やそうとしています。
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