日本で増える「高齢社長」につける薬 ここ20年で平均年齢がじわじわ上昇

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高齢社長に必要な2つの要素

では、こうした役員・経営陣の高齢化が進む職場で働く従業員たちは、どのような心境なのでしょうか?

「もし、社長が倒れたら、この会社はどうなるのだろう?」

と、会社の存続に対して不安を感じている可能性があります。不安が高まると仕事に対する意欲は低下します。そうならないためにも、少しでも不安を払拭しておきたいもの。では、そのために有効な対策は何か?

高齢化している社長でも仕事に対して「傾聴」と「変化」ができれば、その不安はかなり緩和できるのではないでしょうか。当然ながら日本には高齢の社長が経営する会社はたくさんあります。それでも、高い成長を維持しているケースは少なくありません。ここでいくつかケースを紹介しましょう。

たとえば、80代になっても会長・社長兼務として陣頭指揮を振るうスズキの鈴木修氏は

《いかに人の意見を聞きながらディシジョンをやるか》

と語っています。

あるいは80代まで信越化学工業社長を務めた金川千尋氏は

《社長が戦わなければ、会社は変わらない》

と言っています。自ら経営の先頭に立って、数々の危機を乗り越えてきました。この2社のような大企業以外でも、80歳を超える社長が率いながら、「傾聴」と「変化」の姿勢を持つことによって、成長を続けている会社はたくさんあります。

先日伺った、伝統工芸品である刃物の販売をネット展開して業績を伸ばしている社長は、85歳でした。高齢でも新しい分野に果敢に取り組む経営者であれば、社員はついていくのではないでしょうか。

事業承継は簡単ではありません。適任の後継者がみつかるまで社長は頑張らなければなりません。その間、社員が期待を込めてついてきてくれるように、「傾聴」と「変化」に取り組んでいくべきでしょう。ただ、高齢社長が増え続けること自体は、日本経済にとって憂慮する問題でもあります。これについては、別の機会にあらためて取り上げていきたいと思います。

高城 幸司 株式会社セレブレイン社長

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たかぎ こうじ / Kouji Takagi

1964年10月21日、東京都生まれ。1986年同志社大学文学部卒業後、リクルートに入社。6期トップセールスに輝き、社内で創業以来歴史に残る「伝説のトップセールスマン」と呼ばれる。また、当時の活躍を書いたビジネス書は10万部を超えるベストセラーとなった。1996年には日本初の独立/起業の情報誌『アントレ』を立ち上げ、事業部長、編集長を経験。その後、株式会社セレブレイン社長に就任。その他、講演活動やラジオパーソナリティとして多くのタレント・経営者との接点を広げている。著書に『トップ営業のフレームワーク 売るための行動パターンと仕組み化・習慣化』(東洋経済新報社刊)など。

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