会社の従業員からすれば不安です。後継者がいない状態で、自分の会社の社長がある日倒れたとしたら、気が気ではありません。取材した製造業の会社は創業から40年を経過。社長は70歳を超えるものの、後継者と思える人物は不在の様子。ちなみに社長の御子息はひとりいるものの、医師として開業。すでに、それなりの病院経営をしているとのこと。それでも
「いつか息子が会社を継ぎたいと言ってくるかもしれないと、期待している部分はある」
と社長は答えてくれました。そんな状態の会社で2代目社長をやってくれる人なんていません。豊臣秀吉が長年待った世継ぎが生まれたときに、養子となっていた秀次に対して行った《ちゃぶ台返し》のような仕打ちに遭うかもしれないと思ってしまいます(秀次は子供のいない秀吉の養子となり関白として後継者に指名されましたが、秀吉に実子が生まれると疎まれて追放、自害しています)。
こうして、高齢化が続き、後継者がみえない状態が続くと、会社全体に閉塞感が漂うようになります。同時に、若手社員の採用も簡単ではなくなってきます。会社自体も高齢化していくことになります。
おまけに、周囲が高齢の社長の交代を引き止める場合があります。たとえば、取引先の金融機関の渉外担当にしてみれば、自分が担当しているタイミングに事業承継をするのは
「経営幹部の離反とか、取引先との関係不安とか、問題が露見する可能性があるかも」
とリスク面をイメージしがちです。そこで、
「社長、まだまだお若いですよ。あと3年頑張りましょう」
とハッパをかけて、自分が担当を交代するまで先送りするケースもあるようです。
あるいは、社長を支える経営陣にしても同じように高齢化していて、社長の交代で自分までお役御免になることを想定して、事業承継を妨げる場合もあるとも言われています。
こうしたさまざまな要因が重なって、社長交代が進まず、役員・経営幹部の高齢化まで進んでしまうのが実態なのです。
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