終身雇用を望む若者vs.身軽になりたい企業 「ひっそりと」終身雇用をやめたい会社の本音

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終身雇用を望む若者と、身軽になりたい企業の綱引きが始まっている?(写真:KAORU / Imasia)

終身雇用と年功序列は、日本企業の古くからの人事政策。ただし、時代とともに維持することが難しくなり、崩壊しかかっている……という認識が今は通常かもしれません。今回はその終身雇用を題材に日本企業の取り組みを取材してみたところ、興味深い動きが見えてきました。決して、終身雇用が復活しているといった話ではありません。そうではなくて、

《戦略的な終身雇用の廃止》

がじわじわと加速しているのです。

差し迫っての取り組みとまではいかないものの、中長期的に会社および組織の「あるべき姿」を考えて終身雇用をやめていく傾向にあります。どうして、そのような判断をする会社が増えているのか? みなさんと考えてみたいと思います。

安定雇用するだけの業績拡大は、今後、見込みにくい?

そもそも終身雇用とは、企業が社員の入社から定年までの長期間について雇用する制度。長期的な雇用の約束が社員の忠誠心を高める一方、意欲的な社員からすれば

「安定志向の社員ばかりで刺激が少ない」

という不満を抱く傾向があります。

大企業では終身雇用を前提に新卒採用で優秀な人材を確保して、出世競争はあるものの、誰もが定年まで勤務できるポストを準備して、その社員に対して給与を十分に払えるだけの業績拡大を続けてきました。

この採用システムが日本企業を支えてきたのは事実。先日、取材した食品製造業の会社では人材確保は新卒採用のみ。さらに入社した社員の8割以上が定年まで勤務するとのこと。こうした、終身雇用が継続している会社は大企業が中心ではありますが、歴史の長い製造業では中小企業でも維持しているケースはたくさんあります。ただ、これからも終身雇用を続けるのか?と質問をぶつけると「難しいかもしれない」という回答が返ってきます。

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