苦戦続くソニーのスマホ、次のリスクは欧州 新トップ就任でも見えない今後の戦略
ソニーはこれまでも、スマホの戦略見直しの方向性について言及はしてきた。その中心が、中国など新興国での路線転換だ。
従来、新興国でも拡大路線を掲げていたが、7月の決算会見で同市場での販売不振について言及。10月31日の決算会見では、吉田憲一郎CFO(最高財務責任者)が「(モバイルの)中国については大幅縮小する方針」と明言した。
実際、今通期のスマホの販売台数は4300万台から4100万台へと下方修正したが、その修正分はそのまま中国での販売不振が原因としている。
中国では小米(シャオミ)などの格安スマホメーカーが台頭し、シェアを侵食。十時氏も今回の説明会で「(中国など)ローエンドが中心の市場は価格競争に陥りやすく、差別化が難しい。今の延長線上では難しい」とし、改革の必要性に触れた。
旧エリクソンの重い固定費
一方、これまで特に改革の必要性に触れられてはいないが、専門家が懸念する市場も存在する。欧州市場である。ソニーが今回開示したモバイルの地域別売上高構成比によると、欧州は34%と、中国を除くアジア・太平洋(27%)や日本(27%)、中国(13%)などに比べ大きい。
UBS証券の桂竜輔エクゼクティブディレクターは、「ソニーのスマホ事業で最大の課題は欧州。いずれ中国市場が成熟すれば、中国のスマホメーカーは欧州に攻めに出る。ソニーは欧州で旧エリクソンの人員を大量に抱えており、労働組合も強い。重い固定費を抱えたまま環境が悪化すれば、一気に負担が顕在化する」と指摘する。
モバイル部門の新しいトップになった十時氏はどのように立て直すのか。競争環境が刻々と変わっていく中、再建が一筋縄ではいかないことだけは確かだ。
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