サントリーが「ティップネス」を手放す理由

儲かる会社をなぜ日本テレビに売るのか?

ビーム社の買収完了に伴って会見を行ったサントリーホールディングスの佐治信忠会長兼社長(当時)(撮影:鈴木紳平)

ティップネスの売却金額が300億円台だとすれば、得られるキャッシュは有利子負債の額と比べると僅かだ。ただ、昨年7月には明治ホールディングスが明治スポーツプラザを業界2位のセントラルスポーツへ売却し、今年11月にはサッポロホールディングス傘下のサッポロスポーツプラザをダンロップスポーツが買収した。国内フィットネスクラブ業界では再編が進んでおり、寡占化が予想される中でしのぎを削るより、経営資源を中核事業に集中することで収益性を向上させるのが狙いだろう。

足元では大きな買収を否定するものの、「ビーム社を買収したことは終わりではなく始まり」(千地耕造常務執行役員)としており、さらなる買収をにおわせる。また、佐治信忠会長も7月の社長交代会見で、「引退までの3~5年の間にもう一つくらいM&Aを仕掛けたい」と述べている。サントリーとしても、買収で膨らんだ負債をできるだけ早く減らして、次なる買収に備えなければ、酒類業界で世界的に起きている再編の波に立ち向かえないという認識がある。

さらなる事業売却は?

もっとも、今回のティップネス売却で事業譲渡は一段落しそうだ。サントリーが抱える国内の主要グループ会社は、外食事業で「鳥どり」や「パパミラノ」、「魚盛」などを手がけるダイナック、「とんかつまい泉」を展開する井筒まい泉、プロントコーポレーション、ファーストキッチン、日本サブウェイなどがある。

これらは「酒類・飲料という二つの重点分野」には当てはまらないが、サントリー製品の有力な販売先だ。運営権を手放せばほかの酒類や飲料メーカーに納入元が移りかねないだけに、売却は考えにくい。手放すことがあるとすれば、サントリー製品の販売先という意味で関係の薄い子会社のハーゲンダッツジャパン(出資比率40%)だろう。

サントリーにとって14年は1兆円を超す巨額買収の発表に始まり、12年にわたってローソン社長を務めた新浪剛史氏を新社長に迎えるなど、まさに激動の1年だった。今年度は買収効果で売上高が2.44兆円(13年12月期は約2兆円)に拡大し、総合飲料メーカーとしてはキリンを抜いて国内首位になる。目標に掲げた20年の売上高4兆円への到達に向けて、15年はよりいっそう実績を問われる年となりそうだ。

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