ニュースでは伝わらない「ウクライナ人の叫び」 記者軍団が現地の人のリアルを世界に発信

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「私たちは皆、戦争が起こる前はほかのヨーロッパの国々の人たちと同じような生活を送っていました。ただ1つ違うのは、すぐ隣にロシアがあったということです」と語るのは、このプロジェクトを創設したジャーナリストのアリョーナ・ヴィシニツカさん。

ストーリーの執筆にあたるのは、ウクライナや海外のメディアで豊富な経験を持つジャーナリストたち。対面や電話、インターネットを介して取材を行い、書き上げた原稿はプロの編集者がチェックを入れている。それぞれのストーリーは個人的な体験に基づいている部分が多いが、可能な限りファクトチェックも行っている。戦禍の中でもプロの仕事をまっとうすることで、クオリティの高いストーリーを発信する。

プロジェクトにプロとして活躍するイラストレーターも多く参加している(イラスト:Nina Savenko)

プロジェクトを始めることになったいきさつをヴィシニツカさんは次のように語る。

「ウクライナはロシア軍に囲まれ、毎日どこかで砲撃が起き、人々が犠牲になっています。侵攻が始まった最初の数日間は脳がパニックを起こしていたのか食事も睡眠もとれず、何も手につかないような状態になってしまいました」

しかしやがて、戦時下においての自分の使命について考え始める。「戦時中は誰もが自分が果たすべき役割を考え、実行することが重要だと思います」と言うヴィシニツカさん。彼女の場合は、「真実を伝える」ことが自分の使命だと考えた。

「私たち1人ひとりに何が起こっているのか。私は真実だけがプロパガンダと戦うことができると確信しています。だからこそ私たちは、戦禍に生きる人々のリアルなストーリーを伝えるのです」

100人以上がプロジェクトに参画

ジャーナリストとしてのコネクションを活かし、チームとして活動してくれる人たちを探し始め、現在はなんと100人以上がこのプロジェクトに関わるまでに拡大。

「ストーリーを取材、執筆する人が約20人。イラストを担当するアーティストが約20人。この人たちはウクライナのさまざまなメディアで活躍しているプロです。さらに約70人がテキストを12カ国語に翻訳しています。このほかにも編集者や、翻訳者やイラストレーターのコーディネートをする人、ソーシャルメディアマーケティングに携わる人もいます。毎日、10人くらいが稼働しています」と語る。

皆、ボランティアで活動しており、新たなメンバーが次々と加わっている。大半がウクライナ国内に留まっている。

次ページ明日が来るかわからないが、情報発信を続ける
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