イタリア人が「ロシアの戦争」から受ける深刻影響 5万人以上の「ウクライナ避難民」を市民が支援

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3月21日、イタリア・トリノの公園で、平和を訴える小学生たち(筆者撮影)
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4月1日から、50歳以上の人たちの、職場でのワクチン証明義務解除になるイタリア。ワクチン接種をしていなくても、陰性証明さえあればすべての人が職場に復帰できることになる。そして5月からはワクチン接種済みの人、または4カ月以内にコロナから回復した人だけが持てる「スーパーグリーンパス」も不要となり、どこへ行くのも自由、ほぼ完全に普通の暮らしが戻ってくる。2年前のちょうど今頃は、北イタリアを中心に毎日1000人近くもの人が亡くなり、恐ろしい日々が続いていた。そんなつらい日々もようやく終わりを迎え、明るい春を迎えるはだったイタリア人の気持ちは、弾まないままだ。

ウクライナへのロシアの侵攻が始まって、もう1カ月。破壊された建物、負傷して瓦礫の中から救出される人、避難する人々の長い列。そんな映像がテレビからは終日流れ、新聞もソーシャルネットワークも戦争のニュースでもちきりだ。狙われないよう「PRESS」と大きく書かれた防弾チョッキとヘルメットを身につけた、イタリア報道各社のジャーナリストたち。命の危険と背中合わせに最新の情報を伝えてくれる彼らに感謝しながら、ロシア軍の蛮行に怒り、胸を痛める日々だ。

他人事ではない「戦争」の影響

イタリアを含む欧州一帯では、昨年末ごろから供給不安定のため、ガス・電気代の高騰が言われ始めていた。実際、今年に入って電気代やガス代が2倍になった、3倍になったという声が各方面から聞こえてきた。エネルギー料金の値上がりは、一般家庭だけでなくさまざまな経済活動を直撃する。製造業重工業などはもちろん、パスタを作る工場の機械を動かすにも、パン屋さんのオーブンを温めるにも、エネルギー料金の高騰がすべてに影響する。船が出せないので漁に行けない、だから魚がない。そんなニュースもあった。

そこに戦争が始まった。天然ガスの約40%、石油の12%をロシアからの輸入に頼っているイタリアでは、経済制裁をロシアに科すのは賛成でも、ガスの供給が止まってしまったらどうなるんだろう? 暖房や調理に使うガスは配給制になってしまうのだろうのか?などと多くの人が心配した。原発を持たず、元々電気料金が高いイタリアでは、暖房は電動のエアコンではなくガスを使った温水暖房が中心的存在なのだ。今のところ、ロシアからのガスは届いているものの、より厳しい経済制裁が求められる中で、イタリア政府は他の供給源を模索中だ。

そんな動きに対してロシア側は3月19日、「イタリア政府が今以上の制裁措置を取った場合、両国間の関係において‟不可逆的な”結果をもたらすだろう」と脅しをかけてきた。「コロナのときの恩を忘れたのか」という捨て台詞のような一言まで添えて。2020年3月、ヨーロッパで最初に新型コロナウイルスの感染が爆発し、毎日1000人近くの死者が出ていたイタリアでは、酸素吸入器など医療機器が不足し危機的状態に陥っていた。そんなイタリアを、ロシア政府が物資と人材を派遣して助けたことを言っているのだ。それに対してマリオ・ドラギ首相は「憎むべき、受け入れられない比較である」とコメントした。

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