3月19日現在、5万5711人のウクライナの人々がイタリアに到着している。そのうち2万8537人が女性、2万2398人が未成年、男性は4776人だという(イタリア内務省発表)。

イタリア人の、困った人にさっと手を差し伸べる反射神経は素晴らしく、コロナ禍でも度々感動させられた。今回は特に南イタリアの人たちの熱い心はすごいな、と実感した。戦争が始まって何日も経たないうちに、ナポリのある女性がトラックに救援物資を積んでウクライナまで行き、帰りは避難する人たちを乗せてきたと、カーラジオでインタビューを受けていた。知り合いのローマの女性も、やはり戦争開始直後にご近所さんが「明日ウクライナに行ってくる!」と言うので驚いたそうだ。それで彼女も、薬品など必要なもの200ユーロ分ほど買って託したという。
一方、私の住む北イタリア、ピエモンテ州あたりの人たちが、助けたい気持ちはあるものの、迂闊に手を出して問題が起きたらどうするのだ、などぐずぐずと考えてなかなか腰が上がらないのは、私を含めた日本人に似ているのかもしれない。
避難してきたウクライナ人への支援
戦争開始から1カ月が経った今、イタリア中がいてもたってもいられず、ウクライナの人々をいろいろな形で支援している。
イタリア各地にある救援団体は、食料や薬品、寄付金を集めてウクライナに送ると同時に、避難してきた人々の宿泊先の手配、子どもたちの学校への転入手続き援助などなど、各州政府と協力して活発に行っている。大量に集まる食糧衣料の仕分け、分配作業にボランティアが必要というので私も先日行ってみたらものすごい人で、仕事を見つけるのに苦労するほどだった。

イタリア各地の病院や孤児院では、病気入院中だった子どもたちや、孤児になってしまった子どもたちを受け入れている。先日のニュースでは、フランシスコ教皇がローマのジェズ小児病院を訪れた様子を放送していた。ウクライナ人の小さな子どもが、頭をなでてくれた教皇の手をつかんで離そうとしない、その姿に胸が痛んだ。
義援金ディナーやさまざまなチャリティー活動、ネットやスーパーで買い物をしながら簡単に寄付できるシステムの設置なども活発に行われている。ローマで、ミラノで、フィレンツェで、若者を中心とした反戦デモも起きている。世界でも最高峰の1つであるキエフバレエ団で学んでいたバレリーナの少女が、避難中も練習できるようにと受け入れたヴェネト州のバレエ学校、小学校に通い始めたウクライナの子どもたちを全校生徒が拍手で迎えたなど、胸を打つエピソードがあふれている。
とはいえ、そんなストーリーの先には何が待っているのだろう。個人で避難民を受け入れてはみたものの、言葉も通じない、生活習慣も違い、大変な思いをしている人も多い。どんどん増えていくウクライナから避難して来た人たちは、これからイタリアでどうやって暮らしていくのか。ただでさえ失業率の高いイタリアで、女性たちは仕事を見つけることができるのか。ウクライナの医師免許があればイタリアで医療行為を認めるという特例措置が決まったが、そんな特殊技能を持たない人が大多数なはずだ。それをイタリア政府は支えきれるのか。そして子どもたちは、安心して暮らしていけるのか。
戦争が1日も早く終決し、ウクライナに平和が戻ってくることはもちろん、世界中の人々が安心して暮らせる日々が訪れることを願ってやまない。
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