日本人は「ロシアの核」の危なさをわかっていない 「国が広すぎる、金もない、だから使うしかない」

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先ごろロシア外務省は、北方領土問題を含む日本との平和条約締結交渉を中断すると発表した。ウクライナ侵攻に伴う制裁に日本が加わったことに反発したとみられているが、こういう事実を明かされると、多少なりとも今回の問題との関係が気にかかってしまうのも事実だ。果たしてそれは考えすぎだろうか?

ロシア人の頭の中は「9割軍事」

ソ連崩壊の前後に外務省のソ連課(のちのロシア課)に勤務しており、ロシア人との付き合いが多かったという兼原氏は、その経験を軸としてロシア人のひとつの特徴に触れている。

彼らは中国人とまったく違います。頭の中の9割は軍事で占められ、お金の話と言ったら自分の財布の話になっちゃう(笑)。トップの人たちはエネルギー資源の代金を山分けしているような状況で、真面目にコツコツ商売して稼ぐ人たちじゃないんです。外国人に対する猜疑心はとても強いのですが、仲間だと思うと突然垣根が外れて、思ったことをそのまましゃべってしまう。全然、表裏がない。彼らの本音は、「国が広すぎる。金もない。だから核を使うしかない」ということだと思います。武門の誉れ高い人たちですから、武力で押し込まれたら絶対に許さない。核使用も辞さない。エスカレーションラダーで言うと、アメリカは20階から上が核の次元だけどロシアは10階から上はもう核戦争の次元だ、という感じですね。(164ページより)
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もちろん、これは兼原氏と交流のあった「トップの人たち」の話であり、すべてのロシア人を十把一絡げにすべきではないだろう。とはいえ、「ロシア人は生粋の戦士です。手が出るのが早い。『やられたらやり返す』と平気で言う人たちですから」という発言は、こういう時期だからこそ気になることではある。

印南 敦史 作家、書評家

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いんなみ あつし / Atsushi Innami

1962年生まれ。東京都出身。広告代理店勤務時代にライターとして活動開始。「ライフハッカー[日本版]」「ニューズウィーク日本版」「WEBRONZA」「WANI BOOKOUT」などで連載を持つほか、「ダ・ヴィンチ」など紙媒体にも寄稿。『遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』(ダイヤモンド社)、『世界一やさしい読書習慣定着メソッド』(大和書房)、『人と会っても疲れない コミュ障のための聴き方・話し方』(日本実業出版社)、『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』(星海社新書)など著作多数。

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