なお国力に関していうと、クリミア侵攻やシリアへの介入の仕方などを見ると、“大国のガチンコ勝負”ではなくなっているとも番匠氏は述べている。そうではなく、柔軟に対応して実を取ろうという感じになっているというのだ。重戦力重視の姿勢を維持しながら、時代に合わせた柔軟な戦力も持ってきているということであるため、冷戦時代よりも対応が難しくなっているわけだ。
エスカレーション抑止論
また番匠氏は、冷戦期のNATO(北大西洋条約機構)とワルシャワ条約機構軍の立場が逆転しているような気がするとも言う。冷戦時代はワルシャワ条約機構軍が強かったが、いまやNATO軍は近代的で相当な力を持ってきている。そのためロシアは「弱者の戦法」として核を使うかもしれない。
そういう意味で、「INF条約が終わったからどうするか」というのは対中国だけではなく対ロシアについても考えていかなければならないということだ。さらに、北方領土の重要性は、ロシアにとってむしろ高まっているとも指摘している。
それから、千島列島の松輪島など旧帝国陸軍が拠点を持っていたところにも新しい基地を置く計画もあるようです。オーシャンバスチオン(海洋要塞)であるオホーツク海の防備体制は、冷戦期よりも量的には減っていますが、それを質の向上によって補おうというのが最近のロシアの傾向です。演習の状況などを見ても、決して油断はできないという感じがします。(159〜160ページより)


















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