メタバースとFF14が「似て非なる」決定的な根拠 制作者の想像の範疇を超えられる自己組織化の要諦

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MMORPGにはゲーム世界全体を俯瞰して観察し、コントロールする存在がいる。もちろん、それはサービスを提供している企業(ゲーム制作者)だ。

ユーザーにとって快適なようにゲームが設計され、世界観のあるストーリーや統一感のあるテーマが提示され、隅々までデザインが行き届いている。そこに自己組織化する自由は存在しない。どこまでいってもそれはゲームでしかないのである。

ゲームの性(さが)として、ゲーム制作者の想像の範疇を越えることはできないのだ。

「FF14」と「ドラクエX」の中で行われていることは、ゲーム制作者にとっては想定内の出来事でしかない。もちろん自由度の高さゆえに突拍子もないことをしでかすユーザーたちもいるが、ゲーム制作者の描くシナリオに収まらないものは大抵「バグ」のレッテルが貼られて、システム的に鎮圧されていく。

「ゲームの中でユーザー同士が結婚したらいいよね」という想定があるからこそ、ウエディングドレスのアバターが実装されるのである。

メタバースは自己組織化された構造体

ゲームには旬や賞味期限が存在する。どんな大ヒットゲームでも放っておけば人気が下がっていくものだ。そこで運営側が、熱量を保つために全力で追加コンテンツやイベントなどを投入する必要がある。

MMORPGは自己組織化することはなく、あくまで他者が組織化した世界だ。つまりあくまでもコンテンツ。運営がコントロールし続けることで存続するゲーム世界なのである。

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一方、メタバースは自己組織化された構造体である。

そのため、プラットフォームを提供する企業が想像もつかないようなコンテンツが創造される可能性に開かれている。

参加したユーザーの中に才能あるクリエーターたちが存在し、クリエーターの想像から新たなコンテンツが生まれるのである。

自己組織化されることでメタバースは発展し続ける。ユーザーが熱量を保つために追加コンテンツを投下するといった運用は必要ない。やがて大きくなって世界を飲み込むようなエコシステムになっていく。

この点でメタバースとMMORPGには、運営スタンスや概念という観点から、大きな違いがあるわけだ。

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