「規則改訂でアマ、その中でもジュニア界(高校生以下)の景色がガラッと変わるかもしれませんね」と、長年ジュニアを見て、育ててきたプロゴルファーの井上透・国際ジュニアゴルフ育成協会代表理事はいう。
「ジュニアゴルファーの原資はこれまで基本的には親がお金を払っています。地方の地元で練習している場合はあまりお金がかからないケースもありますが、大会に出場するには費用がかかる。親子で行けば10万円ではきかないでしょう。子供が優秀になればなるほど、大会出場や練習量も増え、お金がかかるジレンマが大きくなる」
スポンサーがつけば、大会にかかる旅費などの必要経費を負担してもらえるのが、今回の改訂。しかも「制限がない」。すでにジュニアの中にも、企業とスポンサー契約をしている選手も出てきている。
「一般的な契約の場合、企業にとっては宣伝広告費となるので、会社名などのバッジを身に着けることになる」と井上プロ。今までジュニアウェアやキャディーバッグに学校名を入れていたが、今後は企業名やロゴを入れるケースが増えてくる。
スポンサー契約のハードル
国際ジュニアゴルフ育成協会の顧問弁護士・会計士によると、スポンサーとなる企業が契約する選手が未成年の場合は、必ず選手の両親などの法定代理人から書面で同意を得ておく必要がある。
また、会社の「経費」として税務上処理するためには、会社の業務起因性(会社の売り上げ拡大に直接または間接に貢献していること)が必要となるという。意外とハードルは高い。
スポンサーとしては企業メリットをどう見るかだが、広告宣伝という名目であれば、契約する選手の「実績」や「知名度」が必要になるということだ。プロと同じく、その企業の売り上げへの貢献を求められる。
そもそもアマ規定を改訂することになったのは、エリートゴルファーと呼ばれる実績あるトップアマのため、という側面もある。
これから実績をつくっていくジュニアにどこまで求められるか、求めていいかはまだ判断基準がない。改訂で小中学生などのジュニアがどこまで想定されていたかは分からないが、年齢規定などはないので、金銭的な負担が軽くできる可能性があるならうまく利用すべきだ。実績だけではなく「将来性」を認められるようになってきたら、ジュニアへのサポートは広がっていくかもしれない。
ジュニアの大会のゴルフ場が企業広告にあふれ、今まで以上にゴルフに興味がある企業の視察が増えるかもしれない。いわゆる「青田買い」だ。今後はジュニア育成のための法人やファンドなどもできる可能性もある。個人的に特定のジュニアをサポートする人もいるだろう。
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