東芝「会社分割案」実現のあまりに高いハードル 24日の臨時総会目前に、社外取と会社側が対立

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臨時株主総会を前に、アクティビストを中心として株主の意見表明が相次いでいる。特に、第1号議案への反対意見が目立ち、議案の成立は望み薄だ。

筆頭株主のエフィッシモ・キャピタルマネジメントは3月10日、「第1号議案には賛成できない」とする意見を表明した。会社分割について「中長期的な企業価値を本当に高めるのかという点において大きな懸念があり、むしろ、中長期的な企業価値の毀損につながる可能性がある」としている。

ファラロンも翌11日、第1号議案に反対を表明。エフィッシモが触れていない第3号議案への賛否に関しても賛成を表明した。

このほかにも、アメリカの投資助言会社であるISSやグラスルイスが第1号議案に対して反対を推奨した。投資助言会社の意見は海外の投資家が投票する際の判断材料となっており、東芝の分割提案が成立するのは極めて厳しい状況だ。

根底にある経営陣への不信

相次ぐ反対意見の根底にあるのは、経営陣への不信だ。エフィッシモは意見表明のなかで、「現在の東芝の経営体制は、本分割のように不可逆的かつ重大な影響を及ぼす経営戦略を適切に策定し、執行していくという重責を付託するに足る体制ではない」と手厳しい。

経営陣と株主との間に不信感があるという意見は、3Dやファラロンも同様だ。この2社はエフィッシモよりもさらに踏み込んで、東芝をプライベートエクイティファンドなどが買収して非公開化する事を積極的に検討するよう求めている。

3Dは、昨年11月に東芝が発表した3分割案にいち早く反対の声を上げた。今年1月6日には臨時株主総会の招集を請求。その際に東芝の定款を変更する議案(撤回された第2号議案)と、非公開化を積極的に検討するという議案(第3号議案)を提案した。

会社3分割では経営陣と株主の間にある不信や、不祥事を起こしてきた企業文化など、東芝の抱える根本的な問題は解決できず、莫大な経費をかけてまで分割を推進することに合理性はないというのが理由だ。

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