東芝「会社分割案」実現のあまりに高いハードル 24日の臨時総会目前に、社外取と会社側が対立
混沌は深まるばかりだ。
東芝は3月24日午前10時から、臨時株主総会を開く。審議する議案は2件だ。1つ目は東芝を2分割し、半導体やHDD(ハードディスク・ドライブ)などのデバイス部門を独立させる案について、株主の「ご意見確認」をする会社提案(第1号議案)。2つ目が、非公開化またはマイノリティ出資を積極的に検討し、そのプロセスの詳細を株主に説明することを定める株主提案(第3号議案)だ。
株主提案は、第2位の大株主である3Dインベストメントパートナーズによるものだ。会社分割を定款に書き込む第2号議案は、提案者の3Dが議案を取り下げたため審議されない。
2017年の第三者割当増資後に株主となったアクティビスト(モノ言う株主)との対立に終止符を打つべく東芝が繰り出した「会社分割」という〝奇策〟は通じるのか。その行方に注目が集まる。
社外取と東芝で意見が割れる異例の事態
「私は第3号議案に賛成することに決めた。(非公開化に関して)どのような入札が行われそうかという情報を得ることは難しくなく、時間がかかるわけでもない。(第3号議案が成立すれば)会社分割の潜在的価値と非公開化の可能性とを比べる追加的な情報を株主が得られるだろう」
東芝の社外取締役で指名委員会委員長を務めるレイモンド・ゼイジ氏は、3月16日付で文章を公開し、3Dの提案した第3号議案に賛成する意思を表明した。ゼイジ氏を含む東芝の取締役会は2月、この第3号議案に対して全会一致で反対するよう推奨している。それがこの1か月で心変わりしたのか、取締役と会社側で議案に対する意見が割れる異例の事態だ。
東芝はゼイジ氏の文章に対し「個人としての意見表明で、当社取締役会は株主提案に『反対』」としている。
2021年の定時株主総会の招集通知によると、ゼイジ氏は東芝株を37万株保有しており、保有株式数で上位100位に入るという。また、東芝の大株主の1つであるファラロン・キャピタルの顧問も務めている。彼の発言は少なからずほかの株主の投票に影響する可能性がある。
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