過熱する葬儀ビジネス、商機到来、絶えぬ参入

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ほんの前まで葬儀は自宅で行うものだった。が、いつの間にか葬祭会館で行うのが普通になった。一つにはマンション住まいが増え、自宅での葬儀が困難になってきたことがある。その役割を斎場が担ってきたが、それはとりもなおさず、葬儀を葬儀会社が取り仕切るということだ。

今までの30年間、派手な葬儀がもてはやされてきたが、大きな箱モノの斎場を各社が競って造ったことで、会葬者を多数呼ばないと採算に届かない状況が多発。「それは葬儀屋が主導してきたことの弊害だ」と、ニチリョクの寺村久義社長は指摘する。

一方、近年は急速に高齢化が進展したことで、現在亡くなる人の二人に一人が80歳以上の高齢者になった。会社をリタイアしてすでに20年。仕事上の付き合いも絶えて久しい。会社関係者が参列することは少ない。いきおい会葬者は減少する。加えて、最近は「家族葬」と銘打った近親者だけで済ませる葬儀に加え、「直葬」と呼ばれる火葬のみの簡易的な式も増えたことで、葬儀の平均単価を押し下げ単価下落傾向(下グラフ参照)にあるのが実態だ。

イオン、ファミマ 異業種参入で混沌

さらに異業種からの参入組が単価下落に拍車をかける。全国展開するイオンはお布施の明示など料金を透明化。従来セット販売されていた葬儀の単品化を図り、これによって不要であるさまざまな付加サービスをあぶり出しつつある。

同じく葬儀ビジネスに参入する方向で検討を開始したファミリーマートも、狙いは同じであると考えられる。花き業者である日比谷花壇もノウハウを生かして葬祭事業を開始するなど、新規参入が増加。ときあたかも同じくして全日本葬祭協同組合連合会も、事前説明と料金の明確化を既存会員に促す事態に発展し、内からも大きな地殻変動がようやく起こり始めている。


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