ウクライナが「ロシアから離れたい」経済的理由 EUに加盟した国、加盟しなかった国の差

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EU加盟には、経済的・政治的近代化とともに、貿易や外国直接投資(FDI)の拡大による真の意味での単一市場への統合が求められる。FDIとは、外国企業がその国に進出すること、あるいは既存の企業の株式を購入することを指す。

変動の激しい「ホットマネー」が流れ込むわけではない。貿易と対内直接投資が活発な国ほど、経済成長が速いということは以前から知られている。これは、貿易と対内直接投資が現代的な技術や新しい経営戦略を導入するためでもあり、また、力による競争を高めるためでもある。

幾年にわたって徐々にロシアから方向転換

貿易面では、これまで見てきた共産主義後のEU6カ国では、貿易(輸出+輸入)の対GDP比率は1990年には平均70%だった。2019年には130%とほぼ倍増している。対内直接投資の累積残高も、1990年にはごくわずかだったものが、2020年時点ではGDPの60%に達するまでに急増している。

ウクライナはこの間、幾年にわたって経済も社会全体も徐々にロシアからEU諸国へと方向転換してきた。2019年に、新たに設立されたウクライナ正教会がロシア正教会の支配からの独立をイスタンブールの総主教によって認められたことも、その一端を物語っている。

貿易面では、ウクライナは西側へ方向転換した。ウクライナの対ロ貿易額のピークは2011年で490億ドルあったが、2020年にはわずか72億ドルにまで激減している。一方、EUとの貿易は2021年には総額580億ドル以上に上る。

ロシアがウクライナの貿易を支配していた時代、ウクライナ人は「木を切る者、水を引く者」として、主に農産物、エネルギー製品、基礎金属、そして一部の機械類を輸出していた。

ほかの国々と同様、EUとの貿易が増えれば、ウクライナの輸出品目はより知識集約的なものになり、経済全体のアップグレードにつながる。そして、それが生活水準の向上にもつながるのである。

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