資生堂、「ロシア事業の停止」に伴う利益の影響度 ロシアの高級化粧品市場では一定のシェア

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資生堂はロシアの高級化粧品市場でのシェアが高い(記者撮影)

資生堂は3月9日、ヨーロッパからのロシア向け輸出出荷の即時停止と、ロシアにおける広告宣伝などの事業投資活動を全面中止すると発表した。

同社はロシア国内での売上高を開示していないが、業界関係者やアナリストらの推測をもとにすれば150億円程度。ロシア子会社を含む欧州事業セグメントの売り上げが1170億円、資生堂全社の売上高が1兆351億円なので、それぞれに対する構成比は約12%、約1.4%にとどまる。

ただ、ロシア市場での存在感は小さくない。資生堂は高級化粧品分野でフランスのLVMH、ロレアルに次いで3位とみられる。この3社でロシアの高級化粧品市場で3割以上を占めているもようだ。

ロシア市場は1999年に参入

資生堂は1999年に販売代理店を通じてロシア市場に参入、2007年に子会社を設立した。2012年からは、同社における最高級ブランド品の「クレ・ド・ポー ボーテ」を販売している。

ロシアは欧州の中でも成長市場と位置づけられる。ジェトロ(日本貿易振興機構)の調査によれば、2015年で17億ドル(日本円で2020億円)だった化粧品の輸入額が、2019年には22億ドル(2660億円)と1.3倍になった。

高級化粧品は利益率の高い商材であるため、売り上げの減少は利益に大きな影響を及ぼす。三菱UFJモルガンスタンレー証券の佐藤和佳子シニアアナリストは、ロシアへの出荷停止が1年間続いた場合の営業利益への影響額を「60億~70億円」と見積もる。資生堂は2022年12月期の営業利益を600億円と予想しているため、その1割が吹き飛ぶ計算だ。

資生堂にとって国内市場はマスク着用の長期化や訪日観光客の需要蒸発で苦戦が続き、中国市場は海外メーカーや地場企業との競争が激化している。欧米における成長エンジンの1つだったロシアへの出荷停止が長引けば、資生堂の描く海外成長戦略に狂いが生じかねない。

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