ツイッターには、アサド政権支配地で自動車に、プーチン大統領によるウクライナ侵攻を支持するシンボルとなったアルファベットの「Z」のマークを貼る市民らの姿も投稿されている。ある反体制派は「アサド政権の言説を受け入れる市民がいることは確かで、プロパガンダが成功を収めている」と話す。
中東の衛星テレビ局アルジャジーラなどのメディアそのものを偏向したフェイクニュースを流す媒体と決めつけ、支持者は同じような思想の者同士でコミュニティーを形成して結束を強め、アサド政権やロシアの言説を信じ込んでいく。
欧米ロの弱体化で漁夫の利狙うIS
アサド政権支持派を除いて、ロシア軍のシリア内戦への介入で辛酸を舐めてきたシリア人たちの多くが、ウクライナに同情的だ。シリア内戦では化学兵器が使われたほか、クラスター爆弾などロシアの兵器の実験場とも言われたが、惨状を呈したシリア内戦は国際社会に見捨てられた形となった。主権国家に公然と侵攻するという状況は大きく異なるものの、シリアとウクライナの対応の違いに対する恨み節も聞かれる。
かつてはアフガニスタンで旧ソ連軍を駆逐したイスラム過激派は、直接的な利害関係がないためか、概ね静観を決め込んでいる。ただ、イスラム過激派系のイスラム指導者がウクライナ側に立って参戦するのは信徒の義務だとのファトワを出したとのツイッター情報も流れるほか、トルコが影響力を行使するシリア北部で、イスラム系武装組織がウクライナ側への志願兵を6000ドルで募っているとの情報もある。
もっとも、ゼレンスキー大統領がユダヤ系ということもあり、イスラム過激派の間では、ウクライナ侵攻では傍観者的な姿勢も目立つ。それでもウクライナ側に志願する兵には、展望の開けないシリアでの暮らしから脱却するため、混乱に乗じてヨーロッパに渡る好機と判断している人もいるようだ。
一方、過激派組織ISは、組織報「アル・ナバ」で、ロシアのウクライナ侵攻を「十字軍同士の戦いだ」とし、「ロシアとウクライナの戦争は、十字軍国家間の次なる戦争の始まりにすぎず、これから始まる大戦争に比べれば、今の破壊や死は小さなものだ」と主張している。
双方が直接的に戦火を交え、経済制裁により双方の経済も大きなダメージを受け、西側の覇権は終わりを告げると予想。勢力を盛り返す兆しもあり、欧米やロシアの弱体化という形で漁夫の利を狙っている。
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