「ロシア対ウクライナ」地政学から見た紛争の裏側 ハートランドを領土とするロシアからの景色

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「地政学」からみたウクライナ紛争とは?(写真:Chris Ratcliffe/Bloomberg)
「地政学」とは、その国がどこにあるのか、どんな海と山に囲まれているのか、資源は豊かなのか……といった地理的要素から、その国の政治や外交、行動原理などを読み解く学問です。世界の動き、国際政治の思惑が見えてくる「地政学」は、ビジネスにつながる学問・教養としてニーズが高まっています。
昨今のロシア対ウクライナの構図は、そもそもどこから始まっているのか?『働く君に伝えたい本物の教養 佐藤優の地政学入門』より、「ロシアの地政学」について一部抜粋・再構成してお届けします。

なぜロシアが“ 心臓地帯” なのか?

ナチスの御用学問となった地政学は、第二次世界大戦におけるドイツの敗戦によって封印されました。対して、〝現代地政学の祖〞と称されているのが、イギリスの地理学者ハルフォード・マッキンダーです。

マッキンダーは著書『デモクラシーの理想と現実』の中で、ユーラシア大陸とアフリカ大陸を合わせた広大な地域を「ワールドアイランド(世界島)」と呼び、それを①ユーラシア大陸の中心部をさす「ハートランド(心臓地帯)」、②「太平洋・インド洋の沿岸地帯」、③「ヨーロッパの諸半島・島々と地中海」、④「南のハートランド」、⑤「サハラ(砂漠)」、⑥「アラビア(半島)」の6つに分類しました。

①の北側を覆う北極海は、一年中ほぼ氷結しています。④は海岸近くまで高地が続き、沿岸から内陸に通じる大河が少ないため、海から閉ざされています。つまり、シーパワーで世界を制したイギリスの海軍力が及ばない大陸の最深部をハートランドと呼んだのです。

そして、特に当時のイギリスと対立していたロシアの領域であるハートランドを重視し、(その入口に位置する)「東欧を制するものがハートランドを制し、ハートランドを制するものが世界を制する」と主張しました。

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