京都発「匂いが気にならない餃子」大ヒットの理由 舞妓や芸妓もパクパク食べられて大満足

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次第に口コミが広がり、デリバリーが増えると、人手が足りず芸舞妓に花代を渡して白塗りの姿のまま配達してもらうこともあったと笑う。

「2時間40000円くらいの時給で2000円の餃子を運んでいってもらいました(笑)。大赤字でしたが、インパクトはすさまじいですから、結果的に口コミとしてさらに広まっていきました」

結果的に、うれしい誤算となる先行投資となる。「ぎょうざ歩兵」は人気店へと駆けあがり、累計販売個数60万皿(うち「生姜ぎょうざ」は30万皿)を突破。昨今、冷凍食品でも「生姜ぎょうざ」を見かけるが、新しい潮流を生み出した「ぎょうざ歩兵」の影響であることは間違いない。

口先だけで終わらず、売れるを実際に形にするために。今井さんは、設計することの重要性を説く。

「百発百中で売れるわけはなくて、われわれはそう見えるようにしているだけなんです。リサーチし、たくさん仮説を立てるわけですから、二の矢、三の矢を用意することができる。その用意が早ければ早いほど、放つスピードも早くなる。そうすると、たくさんの的に当てることができる」

なぜ「売れる商品」を量産できるのか?

今井さんたちが仕掛けた代表作に、田中長奈良漬店の奈良漬バターサンドがある。創業230年を超える老舗が初めて手掛けたスイーツは、各種メディアで取り上げられるほど人気を博す名物商品となった。

アイデアという矢をたくさん用意しても、的から外れれば意味はない。なぜ、それほどまでに自信を持って弓を引き、的を狙えるのか?

「われわれは、さまざまな分野のスペシャリストと連携しているんですね。たとえば、インテリアに異常に詳しい人、日本全国のスイーツにむちゃくちゃ詳しい人、世界中のブランドに精通している人などなど。『これであなたの専門性をさらに高めてください』とお金を支払い、蓄積した知識や最先端の情報を、われわれに還元してもらうようにしています」

言うなれば、往年の名番組『TVチャンピオン』のチャンピオンレベルのオタクたちが、遊撃隊のようにサポートする。異能の人の個性を上手に生かすことで、大衆のハートを射抜くアイデアの矢(売れる)を精製する。

「餃子を開発するときも、ものすごく餃子に詳しい、食に詳しい助っ人にアドバイスをもらいながら完成させました。奈良漬バターサンドも同様です。組織って、オールラウンダーばかりいても仕方がないと思うんです。きちんと個性が立っているほうが、さまざまなアイデアが生まれやすい。そういう人材が集まっているほうが、企業としても伸びしろがある。われわれは、面白い人を面白がれる企業でありたい」

人の個性を生かすこと。“逆転の発想の餃子”がヒットした背景には、将棋の駒のように、各々の個性を発揮した結果と言えそうだ。

我妻 弘崇 フリーライター

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あづま ひろたか / Hirotaka Aduma

1980年北海道帯広市生まれ。東京都目黒区で育つ。日本大学文理学部国文学科在学中に、東京NSC5期生として芸人活動を開始する。2年間の芸人活動ののち大学を中退し、いくつかの編集プロダクションを経てフリーライターとなる。現在は、雑誌・WEB媒体等で幅広い執筆活動を展開している。著書に『お金のミライは僕たちが決める』『週末バックパッカー ビジネス力を鍛える弾丸海外旅行のすすめ』(ともに星海社)など。

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