パリ渡航して痛感「日本のコロナ対策」の超非効率 帰国時のペーパーワークもあまりに多すぎる

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「こんなことをしているのは日本だけなんです」。JALのチェックインカウンターで応対してくれたグランドスタッフもこう嘆いていた。

羽田空港到着時のペーパーワークの煩雑さ

2月27日午後、羽田空港に着くと、そこで待ち構えていたのがあまりにも多いペーパーワークだった。質問票や申告書、健康カード、誓約書など厚生労働省や検疫所、税関といったそれぞれの関係機関の役所の縦割り行政のためか、何度も何度も住所、氏名、年齢、パスポート番号などをペンで記入させられた。あまりにも同じことを書かされるので、パスポート番号や搭乗機の便名、その座席番号も自然と覚えてしまうほどだった。なぜ1つの情報をデジタルで共有できないのか。

近くにいたカナダから帰国した日本人や、アメリカからやってきた外国人とも話したが、誰もが「なぜ日本はこんなにペーパーワークが多いのか」と嘆いていた。

「書類の記入が一切不要」との大原則を立てて、効率化を図ってみるべきではないか。厚生労働省の政務官や会計検査院の職員らが一度覆面スパイのごとく、出入国手続きをお忍びで経験し、ペーパーワークの煩雑さを実感し、改善してほしいものだ。

結局、羽田空港に27日午後2時45分に到着し、帰国手続きや唾液による抗原検査、そしてバスによる移動などを踏まえ、3日間の隔離施設となる横浜のホテルに着いたのが午後6時半だった。

筆者にしてみれば、日本出発前から、1週間以上にわたって鼻の中に綿棒を入れられて、その中が少し痛くなるほど、毎日抗原検査やPCR検査を受けてきた。フランスのように隔離期間がなくてもいいのではないかとつい思ってしまった。しかし、日本はブースター接種が他国に比べて、遅れている。そうもいかないだろう。

悔しいかな、帰りの飛行機の機上で20日に横浜で接種したブースター接種証明が1週間経ち有効になった、との通知をスマホで受けた。

帰りの飛行機の機上で受け取った通知(写真:筆者撮影)

パリ滞在中にこの3回目ワクチン証明がまだ有効とならずに、どれだけ毎日の抗原検査に時間とカネを使ったことか。

パリ在住のジャーナリストの吉田理沙さんはこう話す。

「フランスのコロナ対策では、一貫してデジタル化が徹底されてきました。ワクチン接種、PCR検査、抗原検査いずれも全てデジタルで処理され、紙はバックアップにすぎません。飛行機や列車での移動時、またカフェや美術館に行く際も、携帯アプリのQRコードさえあれば事足りるので、生活者にとって負担が軽く、極めて合理的だと感じます」

日本は手間暇のかかりすぎる今の態勢を、見直すときにきているのではないか。

高橋 浩祐 米外交・安全保障専門オンライン誌「ディプロマット」東京特派員

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たかはし こうすけ / Kosuke Takahashi

米外交・安全保障専門オンライン誌『ディプロマット』東京特派員。英国の軍事専門誌『ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー』前特派員。1993年3月慶応義塾大学経済学部卒、2003年12月米国コロンビア大学大学院でジャーナリズム、国際関係公共政策の修士号取得。ハフィントンポスト日本版編集長や日経CNBCコメンテーターなどを歴任。朝日新聞社、ブルームバーグ・ニューズ、 ウォール・ストリート・ジャーナル日本版、ロイター通信で記者や編集者を務めた経験を持つ。

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