世界に大きく後れを取るブースター接種(追加接種)、PCR検査やワクチン接種でのデジタル化の遅れ、さらには帰国時の空港でのあまりにも多い書類記入――。日本はいったい新型コロナウイルス対応で何をしているのか。
もっと利用者目線に立って効率化できないものか。筆者はコロナ禍の2月下旬、仏パリに取材に行って帰ってきた。肌で感じた日本のコロナ対応の問題点を指摘したい。
第6波の新規感染者が内外で順調に減り続ければ、海外への渡航者も増えると見込まれる。その際の参考のために、筆者が受けたパリ渡航前の検査やブースター接種についてまず記したい。
入国前後のドタバタの一部始終
筆者は2月21日から27日にかけ、フランス外務省の招聘でパリに取材に行った。欧州連合(EU)とフランスのインド太平洋戦略が取材テーマで、日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、インドネシア、マレーシア、シンガポール、タイ、ベトナム、インド、UAE、南アフリカから1人ずつの計12人の記者が参加した。
当初、フランス行きの航空機搭乗にあたっては、出発の72時間以内に受けたPCR検査、あるいは出発の48時間以内に受けた抗原検査の陰性証明書(仏文もしくは英文)のどちらかが必要だった。さらに、フランス国内の移動やレストラン、取材イベント会場の出入りに必要なスマホアプリ版「デジタル・ワクチンパスポート」も、2回のワクチン接種を終えていればもらえるはずだった。このワクチンパスは、欧州連合(EU)全体が導入しているものだ。
ところが、フランス政府は2月12日、一転してこれらの入国条件を変更した。うれしいことに日本からの出発ではPCR検査や抗原検査が不要になった。その一方、悲しいことにEUのワクチンパスがもらえる条件が、これまでのワクチン接種2回から3回へと厳しくなった。
この渡航直前の変更に、筆者は困った。というのも、筆者の場合、2回目接種が昨年8月19日で、地元の川崎市からの3回目のワクチン接種券の配布開始は3月2日以降になっていたからだ。2月21日に羽田空港出発の身にしてみれば、3月2日以降に接種券をもらってもとても間に合わない。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら