パリ渡航して痛感「日本のコロナ対策」の超非効率 帰国時のペーパーワークもあまりに多すぎる

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どうしたらよいか悩んでいたところ、ツイッターのフォロワーの方から地元自治体の接種券がなくても、ブースター接種を受けられる方法があることを教えてもらった。実は筆者は数ヵ月に一度病院に行かなくてはいけない基礎疾患を有している。このため、新横浜のホテルで実施されている神奈川県の大規模接種に優先的に応募できることがわかり、パリ出発前日の20日午後に何とかギリギリ間に合って接種できた。

神奈川県の大規模接種会場となっている新横浜のホテル(2月20日、筆者撮影)

フランス入国にはワクチン3回を接種していれば、PCR検査や抗原検査の陰性証明書はもう必要なかったのだが、念のため、既に予約していた神奈川県の無料検査事業を利用して、両検査ともJR武蔵小杉駅近くの民間検査センターで19日に一挙に受けた。検査結果は、抗原検査は約30分後に判明。PCR検査はほぼ丸一日かかり、翌20日にわかった。

検査結果はそれぞれメールで来た。本来はフランス渡航に必要なかったものの、PCR検査と抗原検査を受けておいて良かったと思っている。なぜなら、後述するように、フランスで受けたPCR検査と抗原検査と比べることができ、日本の問題点がわかったからだ。

なお、神奈川県のブースターの大規模接種時には、地元の市町村から後日ワクチン接種券が届いたら、県に送り返してくださいとのことで、返送用の書面と封筒をもらった。デジタルで情報が共有されれば、こんな手続きは要らない。なんという無駄だろう、日本には台湾のデジタル担当大臣のオードリー・タン氏のような人はいないのかと嘆息した。

神奈川県の接種券返送用書面と封筒。ワクチン接種の国内デジタル化が進めば要らないはずだ(写真:筆者撮影)
筆者が神奈川県の無料検査事業を利用して、PCR検査と抗原検査を受けた武蔵小杉の民間検査センター(2月19日、筆者撮影)

フランスに入国すると…

フランス現地時間の21日午後、パリのシャルル・ド・ゴール国際空港に着いて大変驚いた。入国時のPCR検査や抗原検査が全くなかったからだ。

前述のように、ワクチンを3回打っていれば、日本でのフライト搭乗前のPCR検査や抗原検査も必要なかった。入国後の隔離期間も一切なく、そのままハイヤーでパリ市内のホテルに向かった。

いったいフランスはこんなに検査なしで、素通りで海外客を受け入れても大丈夫かと思うところだが、日本が新型コロナの感染が少ない「グリーンリスト国(低リスク)」に指定されていることが幸いした。また、フランスはブースター接種が日本より進んでいることから、日本よりはるかに外国人受け入れに自信を持っているように感じた。

ただし、筆者を含めた海外からのジャーナリスト12人はその日の夜、全員がホテルロビーに集められ、翌22日取材のためにフランス外務省のフォーラム会場にバスで連れていかれて、そこで全員抗原検査を受けさせられた。

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