ロシアが払う莫大な戦費「戦争とお金」の深い関係 日本含む過去の戦争を振り返り損得を弾いてみた

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ちなみに、アフガン戦争のコストは2001年9月11日からの20年間で、2兆2600億ドル(約247兆円)というブラウン大学の「戦争のコストプロジェクト」が算出している。また、イラク戦争は少なくとも3兆ドル(約305兆円)という見積もりをアメリカの著名経済学者ジョゼフ・スティグリッツ氏が著書で書いている。

戦後、旧大蔵省が調査した資料によれば、日本の日中戦争を含む太平洋戦争における大まかな戦費総額は、約7600億円(一般会計+特別会計)。あくまでも旧大蔵省が調べたものだけであり、アメリカの2880億ドルに対して少ない印象があるかもしれない。

当時の日本のGDP(当時はGNP、国民総生産)が「228億円」(1937年)であることを考えると、GDP比率は実に「33倍」にもなる。国家予算に対する比率は「280倍」という途方もないデータもある。ちなみに、太平洋戦争時の費用については当時の金額で1935億円、GDPの「8.5倍」という説もある。はっきり言って詳細はわかっていない。

戦争の資金調達、5つの方法

ここで気になるのが、莫大な資金を必要とする戦争の資金を一体どうやって調達するのか、ということだ。戦争の資金調達方法にはどんな方法があるか、大きく分けて5つある。それぞれロシアの情勢を踏まえて考えてみたい。

① 戦争債券の発行

第2次世界大戦時の戦勝国と敗戦国の資金調達の違いを見ると、その優劣がハッキリする。例えばアメリカでは、戦争に必要な資金を調達するために多額の債券を発行するのだが、債券だけに頼らずにさまざまな財政的措置を施している。具体的には、1942年の歳入法、1943年の短期税支払い法、歳入法、1944年の個人所得税法などなど、細かな「増税」を実施。政府の借金が無限に増えてしまわないように配慮された。

加えて、消費財の価格を固定化して統制下に起き、物価上昇を給料の上昇よりも低く抑えた。アメリカ国民にとっては、戦争のための増税はあったものの物価は低く抑えられたために、戦争による負担が少なかったといっていいだろう。

さらに大きかったのは、1942年に中央銀行の「FRB(連邦準備制度理事会)」が、財務省の要請を受けて政府が発行する債券の利率を低く抑えたことだ。そのおかげで、政府は低い金利で債券を発行することができたと言われている。

ちなみに、連合国の敵国だったドイツが参戦する1941年まで、アメリカはドイツに兵器を売っていたと言われる。イギリスは1940年の春に20億ドルの「金」を支払って、アメリカ企業に大量の兵器を発注。しかし、ドイツはドル準備高がなく、大西洋を渡る自国の船舶も持たなかったために購入することができなかったとされる。

その後、アメリカは日本の真珠湾攻撃を受けて参戦するわけだが1941~1942年にかけて、アメリカ政府は500億ドル相当の兵器を「武器貸与法」を成立させてイギリスに貸し出している。要するに、単に戦争国債を発行しても、それがドル建てもしくは金でなければ意味がないということだ。

戦争当事国が、大量の国債を発行して自国通貨を獲得したとしても、国際的に通用する通貨や商品でなければ無意味になる。自国の企業だけで戦争に必要な物資を入手できるのであれば別だが、通常は海外企業にも頼ることになる。

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