起業家が「資金調達」で直面する2つの大きな壁 個人投資家やVCから出資を受けるためのコツ

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まずは、データを揃えて、資料をまとめて説明します。僕の場合は、現時点で事業として成立しており、売り上げは伸び続けていて、成長性、将来性が期待できることを、数値を根拠として示しました。ただ、それでもやはり、ピンとこない人はピンとこないのです。

「なんでパンなの?」

「冷凍パンっておいしいの?」

そういう質問も幾度となく受けました。伝わらない、という点で衝撃的だったのは、おいしいパンの需要がわからない人が意外と多かったこと。

「おいしいパン……? そんなの売れる?」

「パンの小売りでしょう? 独自性がないんじゃない?」

そういう反応が返ってくるわけです。なぜそうなるかというと、投資家の多くが都内の一等地と呼ばれる場所に住んでいることが理由のひとつ。そのようなエリアにはおいしいパン屋さんがいくつもあり、食べたいと思えばいつでも買えるため、「珍しくないよね」「なんでそれが事業になるの?」と疑問に思うのでしょう。

「おいしいパンで事業をします」と言っても「そこの角のパン屋さんで十分では……?」と思われてしまいます。食べ慣れている人にとって、おいしいパンの事業は新鮮に感じないわけです。

「当たり前のギャップ」が事業を特徴づける

これはパンに限った話ではありません。価値観は、要するに「自分なりの物差し」のこと。どういう環境で、どんなふうに暮らしているかによって、物差しが変わり、事業の価値の判断も変わります。

これから起業を考えたり、社内で新規事業を提案したりする際には、ここを押さえておくことが大事。都市部に暮らしている人は、電車がすぐに来て、コンビニがあって、ネットを使えて、高い家賃を払うのが当たり前だと思っています。

しかし、それは日本全国で見れば、ほんの10%とか15%の世界。自分にとっての当たり前は、日本全体ではマイノリティ。都市部の人は、全国規模で見れば決してメジャーではなく、スタンダードでもない暮らし方をしているのです。

パンを例にすると、広尾や自由が丘に住んでいる人はおいしいパンをいつでも買えますが、日本の大多数の人は買えません。

事業ではこのギャップが大事。なぜなら、このギャップがあるからこそ、新規事業をつくり出す機会があり、ギャップが大きいからこそ、事業の伸びしろも大きいといえるからです。

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