「想定外の需要」こそが事業を広げる本質理由 真の需要は「現場」に出向いてこそ見つかるもの
僕は一時、このパターンにハマりかけていました。
ご当地ブームだからご当地パン、健康ブームだから健康パンといった具合に、需要を見ているようで、実は需要を捉えていない事業をやりかけていたのです。
もちろん、ブームを追って事業を変えていくのも間違いではありません。それがうまい人もいますし、乗り換えに次ぐ乗り換えで成功している経営者もいます。
しかし、僕が目指しているのは、地域の活性化につながるような、息が長く、地元に根ざした事業です。
タピオカを作っていた店員さんが、明日から急に唐揚げを揚げるような事業ではなく、働く、稼ぐ、誰かの役に立つ、お客さんに喜ばれるといった普遍的な価値を高めて、働いている人には経済的な利益とやりがい、その姿を見ている子どもたちには仕事をする意義を提供できる事業をしたいわけです。
いまふうに言うなら、サステナビリティ。
経済的に、人間関係的に、自然環境的に、持続可能か、長く維持していけるか、という視点で、パンを軸とした事業をしたいと思っています。そのために把握しなければならない需要は、潜在的であり、目に見えません。
「タピオカが流行っている」といったタイプの需要ではなく「社員のためにおいしいパンを食べられるようにしたい」といった、ネット検索では出てこないタイプの需要なのです。
新しい事業を考えるには現場の生情報が不可欠
このことは、これから事業を考えたり、社内で新規事業を提案したりする際にも注意したほうがいいポイントだと思います。
現代はスマホ1台あればあらゆる情報が手に入る時代。キーワードやバズワードを拾っていくだけでも、それなりに見栄えが良く、形になりそうな事業案をつくれてしまいます。
ですが、新規事業を考えたり前例のない事業をつくったりするという観点から見れば、むしろネットに出てこない情報が大事。検索しても出てこないアイデアこそ、独自性が高く、事業化できればブルーオーシャンになるのです。
では、検索しても出てこない情報はどうやってつかむか。これは現場でつかむしかないと思います。企業に出向いて、話を聞く。お客さん、友だちと話をする。すると、どんなことを望んでいるか、どんなことに課題を感じているかが見えやすくなります。
僕の場合、福利厚生とパンというつながりも企業に出向いたから見えたヒントで、ネットで検索しても決して出てこなかったでしょう。
また、現場に出向くと、ネット上で入手できる情報が必ずしも正確ではないこともわかります。
新しい事業を考えるためには、生の情報をたくさん集めることが大事。そのために、現場に足を運ぶ必要があるのです。
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