「想定外の需要」こそが事業を広げる本質理由 真の需要は「現場」に出向いてこそ見つかるもの
偶然から生まれた新しい方向性
僕が最初に立ち上げた個人向けの「オーダーメイドパン」事業は、当初は好調だったものの次第に下火になり、最終的にはサービスを終了することになりました。
残ったのは、工場の冷凍庫に詰め込まれた、売り先のアテがなくなった大量の冷凍パン。僕はとりあえず、このパンを知り合いが勤めている会社に送ることにしました。
すると、「欲しい」「食べたい」「持って帰る」という人が集まり、あっという間になくなったとのこと。無料だから、という理由もありますが、パンでファンを獲得することはできるということが、この出来事によって証明されたのです。これを機に、僕はオフィス向けのパン事業を考えることになったのです。
このように、オフィス向けの案は、偶然から生まれました。「パン好きの女性社員が多いから喜びそう」「冷凍なら常備食になりそう」訪問先の企業からそのような声を聞きながら、どこに需要があるかを探りました。その中で僕が(おっ!)と思ったのは、「福利厚生」という言葉。
ある会社から「福利厚生のひとつとして、社員がおいしいパンを食べられたら良さそう」という声を聞いたのです。福利厚生は会社が費用負担しますので、内容が充実することによって従業員は喜んでくれます。
福利厚生に力を入れている会社はそれほど多いとは言えませんが、当時はちょうど働き方改革という言葉が浸透し始めた頃。社員に喜んでもらう、職場環境を快適にする、楽しく働ける会社にするといった取り組みが進み、福利厚生にも注目が集まりつつありました。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら