地方は若者の「起業家」を使い捨てにしている 起業家を誘致すれば、地方は再生するのか?

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地方が、税金で「起業家」を誘致する事業を拡大している。呼応して若者の「起業家」が移住するケースもあるが、その多くが苦労する。なぜだろうか (写真:IBA/PIXTA)

最近、地方において「起業家」頼みの事業が拡大しています。はっきり言って安易であり、しかも行き過ぎの感があります。

税金で「起業家」を誘致、「数値目標」を立てる自治体も

一部の自治体では、地方創生政策のなかで、地元に「起業家を何人誘致・輩出する」、といったような数値目標を立ててしまうところまで出ています。その目標達成の手段として、「地方に転居すると一定期間、税金で給料を出す」ことを売りにした「起業家」誘致事業まで、各地で始まっています。

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「地方を活性化したい」と思った場合、新事業を興し、その地域に「新たな稼ぎ」を作り、雇用を作り出し、地元の社会サービスに必要な納税をしてくれる起業家は本当に大切です。しかし、今、地方自治体などが取り組んでいる「起業家誘致」はどうやら、それとは様子が違います。

以前、本連載では、「現代版奴隷制度」とも言われる外国人研修生制度について、問題点を指摘しました(「ブラック農家」や古い経営者が地方を滅ぼす)。それと同様に、地方の「起業家」誘致政策は、その地域に必要な新規事業を、地元以外の人に来てもらい、その人の自己責任のもと、雇用の保障もないまま、格安で押し付けられる「お手軽プラン」となっています。

こんなお手軽なプランで「本物の起業家」(あるいはその「卵」)が来るのでしょうか。地方は、起業家募集をする前に「起業家に対する3つの問い」を明確にしてほしいと思います。これは「地方の覚悟」を問うとも言えるものです。「3つの問い」を、1つひとつ見ていきましょう。

(1)地方は、自分たちの「身銭」でどれだけ投資できるか

地方での起業家誘致事業では、地方創生交付金などの予算を活用するほか、年収にして200万円前後を支払う「地域おこし協力隊制度」などの期限付きの非正規公務員制度を活用している場合が散見されます。つまり、地方を創生してもらおうという新規事業にかける予算は、「地元負担なしの、国の予算頼み」であり、かつ「地元の一般的な公務員給与1人分の年収よりも安い金額」なのです。

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