そもそも、普通に自己資金や融資で事業を立ち上げ、新たな稼ぎを作り、納税までしている地元起業家を尊重しない風土なら、「地域外から誘致してきた起業家」たちなど、都合が悪くなれば地元の既存の団体からどんな仕打ちを受けるかは容易に想像できます。
本来なら、成果を上げている地元起業家は、地元市場の動向、事業に有益な人脈を多数持っています。彼らや彼女らこそをまっさきに高く評価しつつ、知恵を活かすなど、その地域の基軸に据えるのです。
そのうえで、地域外の新たな起業希望者を集め、小さな事業を次々と立ち上げていくほうが、自治体などが支援するよりも確実にうまくいきます。外部の起業家に目を向ける前に、実は地元起業家を正当に評価することこそが、スタート地点なのです。
地方は、起業家だけでは変われない
地方が、単に「起業家頼み」にしたり、既得権者たちが、起業家が巻き起こした「不都合な事業」を潰すことにエネルギーを使っているうちは、地方の衰退は続きます。
むしろ彼らに刺激を受けて、地元の大部分を占める既存組織である、議会、行政、民間それぞれの立場にいる人々が、自ら率先して変化を作り出すことができるかです。
もしできないのなら、一部の変化だけで終わってしまいます。既存の組織を変えるのは外の起業家でも誰でもなく、それら組織でトップや管理職を務めて意思決定権をもった「内側の人」たちなのです。
地域に新たな芽を作る起業家はとても大切です。しかし、地元の意思決定者たちが「本質的な変化」と向き合う覚悟をもたなければ、一過性の予算消化によって若者が使い捨てになるだけで、地域の衰退傾向も変わらないでしょう。なんでもやってくれる魔法使いのような起業家は、元からどこにも存在しないのです。
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