「ドラえもん」が50年以上愛され続ける納得理由 藤子・F・不二雄と立川談志、その意外な共通点

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「ドラえもん」が日本人にずっと愛され続ける理由とは(撮影:今井康一)
3月4日に公開された『映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争(リトルスターウォーズ)2021』は、通算41本目のドラえもん映画。
その第1作は1980年に公開された『のび太の恐竜』だが、藤子・F・不二雄の筆による漫画『ドラえもん』の歴史はさらに古い。連載開始は小学館の学習雑誌の1970年1月号から。実に50年以上もの歴史がある。
『のび太の宇宙小戦争 2021』の脚本を担当した佐藤大氏は、自他ともに認める藤子・F・不二雄ファン。その彼に、もはや国民漫画と呼んでも過言ではない『ドラえもん』の魅力を聞く。

SFは落語をやるための装置

――藤子・F・不二雄先生は自作の作風をSF(すこし・ふしぎ)という造語で形容しましたが、『ドラえもん』の場合、文字通りSF(サイエンス・フィクション)の側面もありますよね。『のび太の宇宙小戦争 2021』も宇宙を舞台にした本格的なSFです。SF作品の脚本を書かれることも多い佐藤さんとしては、SF漫画としての『ドラえもん』をどう捉えていますか。

佐藤大(以下、佐藤):『ドラえもん』におけるSF(サイエンス・フィクション)要素って、四次元ポケットから出される未来の道具に集約されますけど、あの道具はあくまでやりたいことをやるためのガジェット(装置)に過ぎないと思うんですよ。じゃあ本当にやりたいことは何だと言ったら、落語です。

子どもたちが欲しいと思う道具をドラえもんが出す。のび太がその道具を使って事故る、あるいはジャイアンやスネ夫に取り上げられる。最後、のび太が想定外の使い方をして大トラブルを引き起こすか、すごくハッピーなことになって、オチ。非常に落語的な骨子です。

ここで大事になってくるのが、想定外の使い方。つまり、のび太のとんちです。普通の人が思いつかないような発想で道具を使う。要はハッキングしてるんです。

TVシリーズで原作にないオリジナル脚本を書くとき、オリジナルの道具は比較的簡単に思いつけるんですよ。だけど、使い方をハッキングして面白くしたり、それで生じるトラブルのアイデアをセットで出すのが本当に難しい。「ああ、原作を超えられないなあ」っていつも思うのがこの点です。

だから『ドラえもん』において大事なのはSF要素じゃなくて、のび太のとんちのほう。面白いとんちが思いつけば、1本書ける。そういう逆算の中で、SF的な要素やルールが必要になる瞬間があるということです。

――主従で言えばSFは「従」、面白いハッキングというクリエイティブが「主」なんですね。

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