いつも自分の提案が通らない人が知るべきコツ とにかく「No」を避け続けることで企画が進む
その際に注意したのは「Noを避ける」こと。
僕の構想はパンメーカーとの共同事業です。オーダーメイドパン事業は、おいしいパンを作れるメーカーと組むことが必須。そのため、社長や幹部の人たちが「やめよう」と判断したら、事業化への道が閉ざされてしまいます。Noが出たらゲームオーバー。
それを避けるために、とにかくNoをもらわないように注意して、なぜオーダーメイドパンなのか、それが会社にどんなメリットをもたらすのかを細かく説明したのです。
実はこれ、広告代理店時代に学んだテクニックのひとつ。
広告代理店時代、僕は地方自治体などに向けた企画提案を行っていました。行政は、良くも悪くも保守的です。リターンより先にリスクを考えますから、新規事業の提案がすんなり通るケースは稀。つまり、Noが出やすいのです。
Noになったらどうなるか。
いくらその案を修正しても、「その件はNoにしたよね」のひとことで再起不能になってしまいます。
ですから、とにかくNoを避けます。
事業案を説明して、社長や幹部の人たちがピンときていないようであれば、「もう少し詳細を詰めてきます」と伝え、すぐに引っ込めます。計画を修正して、再び見せて、それでも反応が鈍かったら、「今回はこのあたりで……」と誤魔化すなどして、引っ込めます。
結論を急がない。時間をかけて合意形成して、十中八九、この内容でGoが出る状態になるまで、修正と再提案を繰り返します。事業提案は、このやりとりが大事。何よりも重要なのは、事業化に向けた一筋の光を消さないようにすることなのです。
相手の立場や所属部署によって見せ方を変える
社内で新規事業を提案する場合も、要領は一緒です。
社内の場合は会社からお金を引き出します。承認する側は「会社のお金を使う」と認めることになるため、失敗するリスクや失敗したときに誰が責任をとるかを考えます。
要するに、そもそもNoが出やすく、一発でGoが出ることはほぼないのです。
そのことを踏まえて、事業計画書の改善を繰り返します。
上長がピンときていないのなら、見せ方を変え、表現を変えます。賛同してくれそうな人がいたら、意見をもらい、協力してもらいます。
例えば、事業計画書ひとつとっても、相手の立場や所属部署によって見たいところは変わります。社長や営業の人たちは業績予想を見たいと思います。製造の人たちは製造計画を見たいと思います。そのような違いを踏まえて、業績予想を軸にした事業計画書のほかに、製造計画書も作成します。
営業の人たちが、営業先や営業施策について知りたいと思うこともあるでしょう。ならば、想定できる見込み客を一覧にしたり、売るための施策として、どういうマーケティングができるか、どんなデータがあるかなどを調べたりします。
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