消えた「宮崎キャンプ特需」再生への厳しい道のり 「観光立県」を目指す宮崎県は復活できるのか

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これはすべてのキャンプ地で共通だが、報道陣も動線が厳しく分けられ、グラウンドレベルの取材はできなかった。西武キャンプでも店舗は出店していたが、例年よりもはるかに少なかった。

西武キャンプの食事スペースの椅子は一方向に向けられている(写真:筆者撮影)

店員は「出店できると聞いたのが2月の下旬だったので準備できなかった店も多かったのではないか。持ち帰りを除いて酒類が販売できなかったこともあり、売り上げは全然だめだが2年ぶりに出店できたことがうれしい」と語った。

宮崎キャンプは今後どうなるのか

日南市観光協会の河野健一氏は、今季のキャンプについてこう話す。

「県内全域が期間中、まん延防止等重点措置の重点措置区域に指定される中、キャンプの観客数は例年よりかなり少ない状況です。そのため、経済効果は大きくありませんが、前年に比べると、球場付近での出店やグッズ販売なども実施でき、若干の経済効果はあると思われます。

また、中学校の部活動やスポーツ少年団活動が中止されている中、キャンプを見学できるということは、子どもたちを含めた市民の喜びや活力になっていると思われます。選手、報道関係者、一般見学者の動線が重ならないよう配慮したり、来場者に対応するアルバイトスタッフを配置したり、スタッフや職員のPCR検査を定期的に実施したり、飲食エリアの消毒やレイアウトを変更するなど、感染症対策には特に注意しました。

以前のように多くの観客でキャンプが賑わい、選手や球団を応援し、見学や交流を通じて活力を与えていただき、キャンプ地であることを通じて日南市の名や魅力が広く発信され、宿泊や飲食、観光、交通などへの経済効果があることも期待します」

宮崎県の2月の最高気温は平均11度、競合する沖縄県は18度、練習環境として不利だが、宮崎キャンプを実施する球団の幹部は「沖縄キャンプの球団は、内地に戻ってから気温差などで体調を崩す選手が出るが、宮崎はそういう心配がない」と語った。そういうメリットもあるのだ。

「スポーツ立県」を目指す宮崎の展望は、コロナによってつまずいたが、コロナがなかったとしても従前のやり方を踏襲するだけではじり貧だったはずだ。今後は県主催で若手による教育リーグを春季に行うなど、自治体側が球団とともに振興策を考えていく時代に入ったのではないか。前向きの一手を期待したい。

広尾 晃 ライター

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ひろお こう / Kou Hiroo

1959年大阪市生まれ。立命館大学卒業。コピーライターやプランナー、ライターとして活動。日米の野球記録を取り上げるブログ「野球の記録で話したい」を執筆している。著書に『野球崩壊 深刻化する「野球離れ」を食い止めろ!』『巨人軍の巨人 馬場正平』(ともにイースト・プレス)、『もし、あの野球選手がこうなっていたら~データで読み解くプロ野球「たられば」ワールド~』(オークラ出版)など。

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