ロシアへの「究極の制裁」で西側が浴びる「返り血」 金融制裁は戦争という「悪」を止められるのか

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ウクライナに侵攻するロシアへの金融制裁は当然。このあと、何が起きるのだろうか(写真:ロイター/アフロ)

いやはや、株式市場はずーっと大荒れである。それもそのはず、悪いニュースが連続している。以下のように整理してみると、何とも「踏んだり蹴ったり」ではないだろうか。

コロナから始まった「悪い流れ」は金融危機へ発展?

① 新型コロナによるパンデミックはとうとう3年目に突入した。各国は金融緩和や財政支出を乱発し、経済活動を何とか維持してきた。
② ところが世界各地でサプライチェーンに問題が続出し、とうとう昨年夏からは欧米を中心にインフレが広がり始めた。
③ そこでFRB(アメリカ連邦準備制度理事会)は、今月から利上げなど金融引き締めを開始する見込みである。
④ そんな中で、2月から誰も予測していなかったウクライナ戦争が始まった。勃発から1週間以上が経過、ロシア軍は首都キエフに迫っている。
⑤ これに対して、西側諸国は強力な対ロ金融制裁に打って出た。石油大手BPやシェルなど、ロシア事業からの撤退を宣言する民間企業も相次いでいる。
⑥ その結果、石油価格が1バレル=100ドルを一気に超えるなど、エネルギー価格は高騰を続けている。ウクライナの主要輸出品目である小麦の国際価格も上昇しそうだ。
⑦ 金融制裁により、ロシアの通貨ルーブルは史上最安値を更新中。今後、ロシア国債のデフォルトなどが発生すると、新たな国際金融危機を招くおそれも。

つまり世界経済は、「パンデミック→インフレ→金融引き締め→戦争勃発→エネルギー危機→新たな金融危機?」という形で進行している。後世の歴史家は、この「7段階活用」をどんな風に描くのだろう。

この連載は競馬をこよなく愛するエコノミスト3人による持ち回り連載です(最終ページには競馬の予想が載っています)。記事の一覧はこちら

この時代を生きる者としては、状況の悪化にため息をつくばかり。そして当連載としては、投資環境の悪化が最大の関心事ということになる。

何より先が読めない。ウクライナ軍はどれだけ粘り、首都キエフはいつまで持ちこたえられるのか。ロシア軍は勝てるのか、あるいは停戦合意に至るのか。ロシア国内は反戦デモが広がり、あるいは粛清が行われるのではないか。そしてウラジーミル・プーチン大統領の気は確かなのか、まさか核兵器を使ったりしないよね? とわからないことばかりである。

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