ロシアへの「究極の制裁」で西側が浴びる「返り血」 金融制裁は戦争という「悪」を止められるのか

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経済制裁は武力を行使しない外交手段であり、これまでいろんな形で使われてきた。今回もジョー・バイデン大統領は、早い時期から「ロシアがウクライナ侵攻の場合は強力な経済制裁で対抗する」と警告していた。しかし経済制裁には、根本的な問題が3つある。

(1) 効果の度合いを測ることが難しい
(2) 制裁をかける側も被害を受ける
(3) 止め時がわからなくなる

制裁は「どの程度効いているのか」を知ることが難しく、いわばPDCAサイクルが回らない。制裁を受ける側も、イランにせよ北朝鮮にせよ、滅多に「参りました」などとは言ってくれない。したがって、ずるずると長期化することが少なくない。

金融制裁は長期化のおそれ、タイミングは最悪?

ところが、今回の金融制裁はかけ値なしの劇薬だ。しかもロシア軍のウクライナ侵攻という不測の事態に慌てて、西側諸国はわずか数日の協議でこれを決定している。

日本も含む世界経済全体が、盛大に「返り血」を浴びることがなければいいのだが……。そうでなくとも、3月15〜16日にはFOMC(アメリカ連邦公開市場委員会)が控えていて、テーパリング(資産購入額の縮小)の終了を確認するとともに、たぶん0.25%の利上げが決まる。年央には開始されると目されるQT(量的引き締め政策、もしくはバランスシート縮小)についても、何らかの示唆があるだろう。

つまり、アメリカの金融政策が緩和から引き締めに転換されるというタイミングで、今回の対ロ制裁は発動されている。悪いのはロシアによるウクライナ侵攻であることは百も承知だが、どんな副効果がもたらされるか、つくづくおっかない。

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