サイバー攻撃「ロシア」が本気を出すとどうなるか 今のところ積極的な攻撃は見られないが…
大統領ジョー・バイデンの側近は、IT企業ソーラーウィンズに対する15カ月前の攻撃を検知したのはマンディアントという民間企業だったと繰り返し指摘している。攻撃に関与したロシア屈指のサイバー諜報機関、ロシア対外情報庁(SVR)は、何千というアメリカの政府機関と民間企業が使用するネットワーク管理ソフトに侵入、アメリカの情報がロシア政府に筒抜けとなった。
こうした事件を通して、ロシアは世界でも最も攻撃的かつ高度なサイバー攻撃能力を持つ国として知られるようになった。ところが専門家によると、意外なことに、ウクライナ侵攻ではロシアのサイバー攻撃は想定よりも静かなものにとどまっている。
ロシアがサイバー攻撃を手控えているなぜ
ロシアはウクライナのインターネットや電力網をダウンさせる圧倒的なサイバー攻撃とともにウクライナに侵攻してくる——。当初の机上演習の多くはこうしたシナリオを想定していたが、今のところ、このような大規模サイバー攻撃は起きていない。
アメリカやヨーロッパの当局者は、ロシアがサイバー攻撃を手控えている理由はよくわからないとしている。
サイバー攻撃を試みたものの相手側の守りが想定以上に堅かった可能性のほか、ロシアの傀儡政権樹立後にウクライナを統治しやすくするため民間インフラの温存を図った可能性も考えられる。
それでもアメリカ政府関係者によると、ウクライナ、さらには経済・技術制裁に対する報復措置としてロシアが西側に大規模なサイバー攻撃を仕掛けてくるシナリオは排除できない。ウクライナで無差別爆撃を拡大しているのと同じく、ロシアは可能な限り経済を混乱させるために、いずれサイバー攻撃を本格化してくるとみる向きもある。