サイバー攻撃「ロシア」が本気を出すとどうなるか 今のところ積極的な攻撃は見られないが…
アメリカの政界とIT企業は何年も前から、破壊的なサイバー攻撃に立ち向かう官民連携の必要性について話し合ってきた。だがウクライナ侵攻が始まったことで、サイバー防衛網は厳しい試練にさらされている。ホワイトハウスは国家安全保障局(NSA)とサイバー軍からの機密情報を手に、ロシアのサイバー攻撃計画に関する極秘ブリーフィングを取り仕切っている。
ただ、アメリカの情報活動でロシアのスパイ機関やハッカー集団によるサイバー攻撃計画を察知できたとしても、政府にはそれを阻止できるほど迅速に動けるインフラがない。
「当社は一企業であり、政府でも国でもない」。マイクロソフト社長のブラッド・スミスは28日に公開された同社のブログ記事で、サイバー戦争の脅威などウクライナ侵攻に対するマイクロソフトの立場をこのように整理している。
ロシアが備える世界屈指のサイバー攻撃能力
だがその一方で、同社が果たす役割は中立的なものではないとも明言した。スミスは、ウクライナ政府、アメリカ政府、北大西洋条約機構(NATO)、ヨーロッパ連合(EU)との「絶え間ない緊密な連携」に触れている。
「ここまでうまく、これほど速く(連携が)進むのは初めてだ」と前出のバートは語る。「数年前ですら何週間とか何カ月もかかっていたことを今、私たちは数時間で成し遂げている」。
サイバー防衛に必要な情報はあらゆる方向から流れてくる。
関係企業の幹部には新たに機密情報へのアクセス権が与えられ、NSAやサイバー軍が行う極秘ブリーフィングの傍聴が許されるようになった。こうしたブリーフィングには、イギリス当局なども参加している。
ただ実用価値のある情報の大部分を発見しているのは、マイクロソフトやグーグルをはじめとする企業だ。こうした企業は、広大なネットワーク上を流れる情報を把握できる立場にある。