増税先送りは、世代間格差の是正機会を奪う

時間的猶予だけでは、何も問題は解決しない

野党の選挙体制が整っていない今のうちに、抜き打ち解散を行えば議席を失っても与党が過半数を維持できるかもしれない。しかし、消費税を予定通り引き上げると決断して解散すれば、予定通り引き上げるか否かが争点となり、与党にとって不利になると認識するだろう。

先送りは、当面は好都合だが、政策手段も失うことに

政権にとって、衆議院総選挙を今行うのが好都合ということなら、消費税は予定通り引き上げないと決断する方が良い、ということは、こうして想像できよう(ただし、歴史に「IF(もし)」はないが、野党の選挙体制がすでに整えていたら、同じ決断になるだろうかということはある)。解散総選挙を、結局は11月17日に発表される7~9月期の経済成長率の1次速報の前に事実上決めていたなら、(当初は2次速報も見ると言っていただけに)経済情勢を見極めるどころか、政治的理由が優先された先送りの決断といえよう。

次に、消費税再増税を先送りする時期についてはどうだろうか。今解散しないことを前提とした最近の議論では、1年半先送りして2017年4月に再増税するという説があった。今解散しないなら、次期衆議院選挙は2016年12月までに行わなければならない。前述のような選挙日程があり、半年先送りするとなると2016年4月で、直後に参議院選挙がある。1年先送りするとなると2016年10月で、直後に今の衆議院議員の任期満了が来る。

こう考えれば、最近再増税を1年半先送りして2017年4月にすると言い出したのも、経済的理由というより(今解散しない前提での)政治的理由が強かったというべきだろう。こうすれば1年半後にデフレが止まる、と客観的証拠をもって確約できる人は誰もいないのだからなおさらだ。

もし消費再増税を先送りした場合、政権が失う政策手段は多い。社会保障・税一体改革の枠組みで実施されることになっていた社会保障の充実は、消費税の再増税分という財源を失ったため、代替財源を探さなければならなくなった。

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