内閣改造後の安倍内閣では、「地方創生」を1つの目玉政策に掲げている。その中で、「ふるさと納税」(「ふるさと寄附金制度」)も注目が高まっている。菅義偉官房長官がふるさと納税の控除額の上限を引き上げる方針を示している。
「ふるさと納税」は、本当にいいことづくめ?
今年度のふるさと納税は、各地の自治体で過去最多額に達する勢いで増えている。ただ、ふるさと納税をした人に、その謝礼として贈る地元の特産品が、あちこちの自治体でどんどん豪華になる「謝礼品合戦」に、苦言が呈されている。今後、ふるさと納税はどうすればよいのだろうか。
そもそも、ふるさと納税とは、出身地などの自治体に寄附をすると居住地で税金が軽減される仕組みである。ふるさと納税という名ではあるが、税制上は寄附である。また、寄附先は出身地にこだわらず、どの自治体でもよい。例えば、ふるさと納税制度を使い、ある自治体に1万円の寄附をしたとする。寄附した人は、確定申告を行って、寄付額から2000円を控除した残り8000円だけ、所得税と住民税が減額される。より細かく言えば、この人が20%の所得税率に直面している人なら、8000円×20%=1600円だけ所得税が減額される。
そのうえ、居住地の自治体に払う住民税も、8000円×80%=6400円減額される(ここでの80%は、所得税で減額された際の20%を100%から差し引いた率である)。要するに、ふるさと納税制度を使って1万円の寄附をすると、税負担が8000円軽くなる。とはいえ、ひとまず2000円は懐からお金が出ていくことになる。
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