では、ふるさと納税を今後どうすればよいだろうか。
そもそも、ふるさと納税は寄附税制の一環である。この原点に立ち返って、ふるさと納税を位置付ければよい。ふるさと納税は自治体に寄附した時に適用されるが、日本赤十字社や公益法人、学校法人、NPO法人などの非営利法人に寄附した時にも、寄附税制によって所得税や住民税の負担が軽減される。
寄附することは、個人の自由である。ふるさと納税があろうがなかろうが、自治体への寄附は昔から認められている(事実、ふるさと納税がある今日でも、ふるさと納税による税負担軽減の恩恵の上限をはるかに超える額の寄附を自治体にする方もおられる)。
また、ふるさと納税があるために税収が減る自治体は、その住民が非営利法人に寄付をすれば、寄附税制があるので税収が減るのだが、住民に対して、応益負担に反するから非営利法人に寄附をするなと言えるだろうか。言えるはずはない。ならば、住民が他の自治体に寄附をすることも、やめろとは言えない。
寄付税制の趣旨に反しかねない「謝礼品合戦」
そう考えれば、寄附は個人の自由であることと、ふるさと納税は寄附税制の一環であるとの原点とを踏まることが重要である(ふるさと納税の控除上限額をどうするかという問題は残るが)。
この観点から言えば、謝礼品合戦は、寄附税制の趣旨に反しかねない。地方税制を所管する総務省は、謝礼品の送付について「適切に良識を持って対応」するよう求めている。現時点では、各自治体の「良識」に委ねられている。
しかし、ふるさと納税を寄附税制として位置づけるなら、単に自治体の「良識」だけに委ねるべきでない。なぜなら、税制優遇のある寄附は、自治体だけでなく非営利法人にも認められているからである。税制としての整合性が問われる。
非営利法人に、なぜ税制上の恩典が認められるのか。営む事業で上げた利益をその構成員に分配して私益をもたらす営利法人とは異なり、非営利法人は、構成員への利益の分配を予定しておらず公益を追求することを想定している。非営利法人は、積極的に不特定多数の者の利益の実現を目指す存在と位置づけられる。非営利法人が得た寄附金は、こうした目的を果たす事業に使われる。そして、非営利法人が、もしこれに反するようならば、非営利法人としての認定が取り消されたりする。取り消されれば、税制上の恩典を失うことになる。
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