「ジェンダーの壁」日テレ記者が語る実体験と課題 小西美穂キャスターはどう克服しようとしたか

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報道現場のジェンダーの実態はどうなっているのでしょうか(写真:Fast&Slow/PIXTA)
報道記者として、そして親しみやすくわかりやすいニュース解説で定評を博すキャスターとして活躍してきた小西美穂さん。そのキャリアのプロセスには、常にジェンダーの「壁」が立ちはだかった。小西さんはいかにその壁を乗り越え、克服しようとしたのか。

キャリアを積むのに立ちはだかる女性ゆえの「壁」

1992年5月、日本テレビで「スーパーテレビ情報最前線:女たちの報道戦争」という番組が放送された。当時は報道現場で働く女性がまだ珍しかった時代。報道局の女性たちに密着取材し、その奮闘ぶりを伝えていた。

『GALAC』2022年4月号の特集は「テレビ現場のジェンダー」。本記事は同特集からの転載です(上の雑誌表紙画像をクリックするとブックウォーカーのページにジャンプします)

ニューヨークで衛星中継を仕切る特派員、スタジオでニュースを読む子育て中の女性キャスター。カメラマンがヘリコプターに乗って、災害現場へ飛び立つ様子が次々と映し出された。

そのころ私は前職の読売テレビに入社したばかり。同期25人中、総合職の女性は私含め2人だけで、最初の仕事はお茶汲みだった。

「女性の仕事にもこんな選択肢があるのか」。目を開かれ、テレビの前で釘付けになった。「いつか私も……」と胸を膨らませたことを鮮烈に覚えている。

あれから30年。大阪府警記者を駆け出しに、司法、ロンドン特派員、政治記者、キャスターになり、彼女たちと同じ報道最前線の舞台を踏ませてもらった。20代は朝から晩までがむしゃらに取材した。中堅になると仕事の幅が広がり、さらにやりがいを感じた。念願の特派員になり、イラク取材にも行けたのは34歳。努力し、準備すれば道が拓ける。そういう取材生活をさせてもらった。

ただ、報道現場でキャリアを積むには女性ゆえの壁もあった。

次ページその1つが取材先でのセクハラ
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