「ジェンダーの壁」日テレ記者が語る実体験と課題 小西美穂キャスターはどう克服しようとしたか

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女性が増えるとニュースの内容にも変化が生じる。

私が担当していた「news every.」の「ナゼナニっ?」コーナーは、時短勤務のママが中心になって制作している。朝のお弁当作り、お迎え、夕ごはん、お風呂、寝かしつけ。日々育児と格闘しながら、ニュースルームに来て、夕方生放送の分刻みの仕事をこなす。コロナ禍で伝える感染対策、学校、給付金などのニュースにも、生活に近い「当事者の視点」がおのずと入ってくる。

これは、視聴者(受け手)との距離を縮め、より内容が伝わる効果を生んでいると思う。コロナでは女性を取り巻く切実な状況が顕在化した。作り手が同じような属性の集団では、こぼれ落ちてしまうリスクがあるのではないだろうか。

また、報道で女性がチャレンジできる職域も広がっている。技術職を含め、今ではあらゆる部署に女性はいる。今後、機材の軽量化やデジタル化といったイノベーションで、体力的なハンデがなくなり、さらに拡大する可能性もあるだろう。

問題は、組織の上に行くにつれ女性が少なくなることだ。昨年、あるジャーナリズムの賞で二十数人の選考委員すべてが男性だったことにビックリした。現場で女性が増えても、「評価する」「決める」のは男性ばかりなのだ。

日テレ報道局も他人事ではない。デスク・キャップクラスでは女性が当たり前のようにいて、男女関係ない。しかし、部長職以上になると、政治部と国際部が同時期(2017年~)に女性が部長になったが、現在(22年2月時点)は非ラインの2人だけである。

リーダー層を男性がほぼ独占する構造に、Dさん(40代女性)は、「24時間戦える人が偉い、という風潮がいまだに根強い。子育てしながら男性並みに頑張っても、大事にされないなら、頑張れない」と本音を漏らした。

日テレ報道局に生まれた意義ある変化

さて、ここからは前向きな変化にも着目したい。2021年に日テレ報道局でも2つの意義ある変化が生まれた。

1つ目は、2月に報道局で「ジェンダープロジェクトチーム」が発足したことだ。私を含め有志数人で立ち上げたが、社長室、スポーツ局、情報・制作局などへも広がり、72人が参加している(2022年2月現在)。

チームはジェンダーについて社内のチャット上で日常的に意見を交わし、取材や出稿・放送につなげている。21年5月には東京大学の瀬地山角教授による社内勉強会を企画主催、400人以上が参加した。

また、同年10月の国際ガールズ・デーでは、日本テレビとNHKで「ジェンダーとテレビの未来」についてオンライン座談会を実施した。民放他局やウェブメディアと横の繋がりも生まれている。

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