チームの業績を引き上げる、2つの秘策とは? 脳の「ワーキングメモリ」を活性化させよう
2つ目のワーキングメモリ・キラーは仕事を急がせることです。というのは、時間の余裕がないと、人は合理的な判断をできないのです。あと1時間で仕上げてくれとか、明日中にこれを仕上げてくれというのではなく、できるだけ合理的な判断ができるような時間的猶予を与えるべきです。例えば新車を購入しようとする時、あと10分で決めてくれたらこれだけ値下げしますよというのは、合理的な判断を妨げるためのテクニックなのです。
――マルチタスクをしない、という点は、企業も同じですね。成功している会社ほど、フォーカスを絞っているように思います。
まさにおっしゃる通りです。実際に20代後半のFacebook用ゲームアプリを開発した億万長者と話をした際、このように言っていました。社内で例えば10のプロジェクトがあったとしても、それぞれのプロジェクトを1~2週間テストし、うまくいかないと分かったら、すぐにそれは捨てるのだ、と。10のプロジェクトのうち、トップ 2(ツー)だけにフォーカスして開発するのだそうです。それで非常に成功したそうです。
就職をする際にも「目的」を重視しよう
――いい話を聞きました。とはいえ大企業の場合、そこを合理的に判断できず、苦しんでいるように思います。どうすれば、本業から遠い事業を止める、という判断ができるのでしょうか。
グランドチェスマスターであるスーザン・ポルガーの本に書かれているのですが、最初にゲームの最終地点を考えてから、そこに至るまでのプロセスを考えることが大事だそうです。そうしたことが実際に企業でも必要ではないかと思います。
例えば、最終地点が「日本でソフトドリンクメーカーとして1位になりたい」ということであれば、例えばキャンディーを開発するプロジェクトなどは、ゴールにぴったりマッチしないということが判断できると思います。長期的なゴール、その企業として達成したいゴールに、そのプロジェクトが見合っているのか、を常に考えるべきだと思います。
企業のCEOとしては、社員から何かいいアイデアを聞いたら「ああ、それはいいね」と思うかもしれません。でも、その時に同時に、果たして企業が本来達成したいゴールに合致しているのかを考えるべきです。その判断は、たとえ15秒しかなかったとしても、間違えたものにはならないと思います。
これは個人であっても同じです。就職する時にも、長期的なゴールを考えるべきだと思うんですね。自分が何をしたいのか、どういう仕事をしたいのかということを考えて就職するべきであり、最終的にその組織に入りたいのであれば、ボランティアであっても、その組織と関係のある仕事をすべきだと思います。
――ところで、私を含む多くのビジネスパーソンは、睡眠時間を削って仕事をすることが慢性化していると思います。このサイクルからはどうしたら抜け出せるのでしょうか。
Delegate(任せなさい)。ジュニアスタッフに任せられるものは任せなさい。その結果、あなたにしかできない仕事だけをやればいいのです。そうすることによって睡眠とかランニングに割く時間ができます。睡眠を減らすようなことが続くと、ワーキングメモリの能力は50%に半減するとの研究結果が出ています。毎日、意識をして睡眠をとるべきです。
――ありがとうございます・・・。気を付けるようにします!
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら