日本人がまだ知らない、図書館の可能性 菅谷明子×大崎麻子「グローバルママ対談」

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本や映画の感想はどんどんシェアしよう

――読書体験、図書館の役割から子育てに活かせる視点を色々とお話いただきました。お2人に何か質問はありますか。

Q.本を媒介にした親子の会話は家庭ではできそうですが、図書館の可能性を広げるという意味で、例えば友だちと本の感想をシェアリングするということも、図書館でできそうでしょうか。

菅谷:シェアリングというのは、とてもいいですね。日本では、作文は先生に見せるものという感覚をお持ちの方々が多いと思いますが、アメリカでは生徒間で内容を評価し合うピアレビューというのをよくやります。先生と生徒の間だけでは出にくい多様な視点が出てくるので、学びが深まるんですね。友だちの作文の優れた点やまずい点からも、多くを学ぶことができます。

シェアリングというのは、何も本でなくても、映画でもいいです。また、同じ作品でなくても、同じ作家の作品ならOKとするなど、遊びのエッセンスも取り入れながら、まずは身近な友だち同士でもいいので企画してみてはいかがでしょう。

大崎:大学で授業をしていると、シェアリングがとても大切だと感じます。外国の方々の間では、日本の小学校教育は素晴らしいけれども、大学教育は問題だという見方をされることが多く、それは授業が一方通行で、質問や意見が出にくいからです。

私の授業ではよくグループディスカッションをやってもらうのですが、学生たちは最初慣れていなくても、やってみると今まで自分だけでは気が付かなかった視点が得られて、それが非常に大きな学びになっているようです。日本の子どもたちは、こういうことにもっと小さいうちから慣れ親しめる機会があるといいなと思いますね。

菅谷:日本の学校である程度の期間学んだ後にアメリカにやって来るお子さんを持つ親が悩むのが、やはり質問ができない、意見が言えないということです。そこでどうすればいいのかということで、いきなり「これどう思う?」と聞いてもそういうお子さんは言えないので、まずは少しずつ選択肢を見せていくのです。「こういう見方もあるけど、どう?」という感じです。

あと、多角的な視点があるということを知らせるということも大切です。私の母はよく“ツッコミ”を入れる人で、私が学校での出来事として「○○ちゃんがこう言った」などと言うと、母がつかさず「○○ちゃんはそう思ったかもしれないけど、こういう風にも考えられるんじゃない」と言ってくるのです。すると「あっ、そうか」と気が付きますよね。

ディスカッションに慣れるという意味では、こんな家庭でのやり取りでもそれなりに子どもを鍛えることができると思うんです。単に「私はこう思う」と言わせて終わりではなく、「どうしてそう思うの?」と聞いたり、「ママはこう思う」というやり取りがあるだけでも、随分慣れられると思います。

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