「車いすバスケ」の奥深い魅力 健常者もはまる激しさ
ひと昔前は、車いすバスケットボールの体験会をやっても遠巻きに見る人が多かった。最近は健常者にも 「やってみたい」という人が増えた。25年来、車いすバスケの魅力を伝えて全国を飛び回る根木慎志さん(50)は、そう感じている。
日本車椅子バスケットボール連盟には昨秋以降、講師派遣の依頼が以前の3倍に増えた。もちろん2020年五輪・パラリンピックの東京開催が決まったからだが、連盟の野口美一会長は誇らしげに言う。
「長年、障がい者スポーツをリードしてきた歴史があるからだと自負しています」
人間の可能性伝える
パラリンピックが始まった1960年ローマ大会以来の競技種目。その人気は障がい者スポーツの中でも群を抜く。欧州にはプロリーグがあり、日本人選手も活躍している。安(やす)直樹さん(37)は3年間、イタリアのプロチームでプレーした。日本の競技人口は約800人。10年ほど前からは、主に健常者が出場する大会も開催されている。車いすバスケを題材にした井上雄彦の連載漫画「リアル」は、人気を後押しする。
根木さんは00年シドニー・パラリンピックの車いすバスケ男子日本代表だ。車いすに乗るようになったのは、高校卒業を目前に起こした自動車の自損事故。脊髄を損傷し、下半身が動かなくなった。入院中に車いすバスケの選手に誘われ、初めてプレーを見て衝撃を受けた。退院後、社会人チームに入り、練習を重ねた。
パラリンピックはバルセロナ、アトランタと最終選考で日本代表から漏れたが、シドニーで代表入り。当時は36歳で、キャプテンを任された。
いまは年間100校を超える小中学校を回り、車いすバスケの楽しさを伝えている。